02 11月

「22山麓」だより 案山子

「22山麓」だより 2

諸木の芽吹きの頃は名残りの雪があり、猛スピードで通過する季節の動きから目を離せない。山の緑の多さもさることながら、地一面が新緑になる時季も見逃せない。田おこしが始まり、緑の畦に囲まれた中は土色に。水が入り銀色の水田。「水鏡」に鳥海山が映し出され、合わせ鏡となった「22山麓」は壮観である。特別な大気感もたまらない。いつの間にか空を見上げ、さだまさしの「案山子」を口ずさんでたりする5月である。

元気でいるか 街には慣れたか 元気でいるか 街には慣れたか

友達出来たか 友達出来たか

寂しかないか お金はあるか        寂しかないか お金はあるか

今度いつ帰る              今度いつ帰る

城跡から見下ろせば蒼く細い河      山の麓煙吐いて列車が走る

橋のたもとに造り酒屋のレンガ煙突     木枯らしが雑木林を転げ落ちてくる

この町を綿菓子に染め抜いた雪が     銀色の毛布つけた田んぼにぽつり

消えればお前がここを出てから       置き去られて雪をかぶった

初めての春              案山子がひとり

手紙が無理なら電話でもいい       お前も都会の雪景色の中で

“金頼む”の一言でもいい         丁度あの案山子のように

お前の笑顔を待ちわびる         寂しい思いしてはいないか

おふくろに聴かせてやってくれ        体をこわしてはいないか

「父は90歳なんですよ。元気なうちに、ここからの風景を見せたくて。」

とは、Suiにやってきた娘さん。

ご両親と一緒に撮った写真はあっても、腕を組んだり肩を組んだりしている写真はないだろうと勝手に思っている。本当は、私がそんな写真を持っていたかったということもあり、たまらなくスナップを撮りたくなる。移動が困難と思われたら店内で。しかし、鳥海山と田んぼの緑を背負ったスナップ写真がいいに決まっている。家族の心通わせる柔和な表情がファインダーに入った時は、ヤッターって感じ。

 元気でいるか。街には慣れたか。友達出来たか。

さびしかないか。お金はあるか。今度いつ帰る。

 ご家族の愛情あふれるショットを頂戴して、

優しい気分でいられることに感謝している。(B)