05 11月

「22山麓」だより 5

「22山麓」だより 5

背もたれのある長椅子に座って、夏の空を見上げている。

♪世界中の汽車をつなげて まだまだ足りない長い橋♪

鳥海山に向かって左の日本海の方から煙を吐いた汽車がやって来る。橋をつなげないと大変だ。 ピースに急いで橋を描いては はめ込んでいく。

今でも、そんなひとり遊びをしていることに気づくことがある。

空にらくがき かきたいな

 いっぱい いっぱい

かきたいな

かきたいな

世界中の鳥が食べても

食べきれないようなリンゴの木

  空に大きくかきたいな

シュシュシュシュ シュシュシュシュ

かきたいな

                 世界中の犬がほえても

驚かないようなブルドック

 世界中の汽車をつなげて

まだまだたりない長い橋

先の号に、カジカガエルがいて欲しいことを話題にしたが、ここ「22山麓」でも、カジカガエルが鳴いていた。蜩は午後の部に啼く。日の出前から鳴いている声?このところ意識していたので、それがカジカガエルの鳴き声だとなった。

エンドレスの川の水音に、明け方に重なりだすカジカガエルの鳴き声。お日様が昇りだすと小鳥のさえずりが急になり、オイラは窓から「おはよう❢」と呼びかける。しばらくすると、オイラのゴム長を履いた家人のぶかぶか長靴のガブガブ音。不規則に鳴ったり止んだり。花の枝を切る鋏の音。不規則に鳴ったり止んだり。店に飾る秋色アジサイの水揚げ作業をしているようだ。「22山麓」の朝の音が融合していく音風景を楽しんでいる。

森の中では、末宗美香子さんの森のインスタレーション展の準備中。4m~5mのガーゼ布地に描いた作品。6~7mの高さから下げる設置が一日がかりとなる。店の中では、柳原良平さんの船と海の版画展を開催。アンクル・トリスの優雅な船旅をお楽しみに。                          (B)

2018.8.1

05 11月

「22山麓」だより 4

「22山麓」だより 4

ウッドデッキでビールをやりながら、 口をついてでるのは、コロロ コロロ コロロ コロコロと鳴く蛙の歌である。プロレスラーのジャイアント馬場さんがTVで少年時代に口ずさんだ曲として歌っていた。それを見ながら一緒に歌えたのだから、どこかで聞いて覚えたのだろう。しかし、どこで覚えたか、どこで聞いたか全く記憶にない。馬場さんが口ずさんだ歌詞を何度も心地よく口ずさんでいる。

月夜の田んぼで

コロロ コロロ

コロロ コロ コロ

鳴る笛は

あれはねあれはね

あれは蛙の銀の笛

ささ銀の笛

 

 

 

先頃、姉弟会があり、温泉宿の岩風呂に浸かって早朝の時間を一人で過ごした。沢の流れの音に澄んだ音が重なり、はて?鳥の鳴き声か?再度の鳴き声に耳を澄ますと、「カジカガエルの啼き声かな。」と思い当たった。緑の樹々の中でカジカガエルの鳴き声が広がって響き渡った。

ここ「22山麓」に着地した時、願ったことがいくつかある。日本の原風景に欠かせない四季折々の「小道具」達だ。サワガニ・ミズスマシ・ゲンゴロウ・タイコウチ・コブナ・メダカ・ホタル・・・カジカガエルもその一つだ。叶わないものもあるが、出会った時の喜びは尋常ではない。そこにいることが確認できただけで「22山麓」の豊かさを十分実感でき大満足である。

ウッドデッキで聞いているのは、ゲロゲロゲログワッグワッグワッと輪唱する蛙の合唱だが、私が小さな声で歌っているのはコロロコロロコロロコロコロ鳴る笛の歌である。

「22山麓」のシンフォニー「田園 June」

第3楽章 ホタル がりだした。(B)

2018.6.30

05 11月

「22山麓」だより 3

「22山麓」だより 3

『枕木のウッドデッキ』ができた。これをSui9周年記念とすることにした。枕木で設置する願望は6年前からの構想である。清里の清泉寮のウッドデッキ、でずしりと重いソフトクリーム片手に八が岳の峰々を眺めながら光と風を感じていたときのイメージが、「22山麓ウッドデッキ」の基本形である。

設置場所が整いだしたところに枕木と出会った。体に堪える作業ではあったが、日に日に広さを増すウッドデッキに励まされ、5月中に何とかSuiオリジナルデッキが形になり、デッキでサル―(Salud)と言って乾杯した。風がグランドミュージック。

この音。忘れることができない。アフリカ ケニアのサファリツアー。車のエンジン音を消したら、この空間は、どんな音がしているのだろうと、エンジンを切ることをお願いした。

「動物がどこにいるか分からないから危険。」と言いながらも応じてくれた。わたしは「しーん」とした静寂を想像していたのだが、そこには「ごぉー」という音があった。

「What?」

ドライバーは「Wind」と言った。

地平線が見えるケニアの国立公園。「これは地球の鼓動だ。」と思った。

「22山麓」にも、あの鼓動がある。止むことのない川の水音に、リズムを打つ蛙の音。エンドレスのシンフォニー「田園・June」の1楽章をスーパースペシャル席で聴いている。

衣替えの6月。ファッション雑誌を見ていた家人が、「こんなのどう。」と。「どこに着ていくの。熊にでも会いに行くのか。」と笑い話になる。

「22山麓」を意識してお洒落をすると、くっきりと原色が映える。オレンジと緑のダウンを着て雪の原を散歩した姉妹がいた。みどりの中で、黄金色の中で、これからの季節も原色の衣を着て動いている風景が眩しく映える。 (B)

2018.6.1

 

02 11月

「22山麓」だより 案山子

「22山麓」だより 2

諸木の芽吹きの頃は名残りの雪があり、猛スピードで通過する季節の動きから目を離せない。山の緑の多さもさることながら、地一面が新緑になる時季も見逃せない。田おこしが始まり、緑の畦に囲まれた中は土色に。水が入り銀色の水田。「水鏡」に鳥海山が映し出され、合わせ鏡となった「22山麓」は壮観である。特別な大気感もたまらない。いつの間にか空を見上げ、さだまさしの「案山子」を口ずさんでたりする5月である。

元気でいるか 街には慣れたか 元気でいるか 街には慣れたか

友達出来たか 友達出来たか

寂しかないか お金はあるか        寂しかないか お金はあるか

今度いつ帰る              今度いつ帰る

城跡から見下ろせば蒼く細い河      山の麓煙吐いて列車が走る

橋のたもとに造り酒屋のレンガ煙突     木枯らしが雑木林を転げ落ちてくる

この町を綿菓子に染め抜いた雪が     銀色の毛布つけた田んぼにぽつり

消えればお前がここを出てから       置き去られて雪をかぶった

初めての春              案山子がひとり

手紙が無理なら電話でもいい       お前も都会の雪景色の中で

“金頼む”の一言でもいい         丁度あの案山子のように

お前の笑顔を待ちわびる         寂しい思いしてはいないか

おふくろに聴かせてやってくれ        体をこわしてはいないか

「父は90歳なんですよ。元気なうちに、ここからの風景を見せたくて。」

とは、Suiにやってきた娘さん。

ご両親と一緒に撮った写真はあっても、腕を組んだり肩を組んだりしている写真はないだろうと勝手に思っている。本当は、私がそんな写真を持っていたかったということもあり、たまらなくスナップを撮りたくなる。移動が困難と思われたら店内で。しかし、鳥海山と田んぼの緑を背負ったスナップ写真がいいに決まっている。家族の心通わせる柔和な表情がファインダーに入った時は、ヤッターって感じ。

 元気でいるか。街には慣れたか。友達出来たか。

さびしかないか。お金はあるか。今度いつ帰る。

 ご家族の愛情あふれるショットを頂戴して、

優しい気分でいられることに感謝している。(B)

02 11月

「22山麓」だより 花の街

 「22山麓」だより

石田典子さんの春の作品展を『花と街』とした。

江間章子さんと團伊玖磨さんコンビの『花の街』

が口をついてでた。

ラジオから流れた都会的でお洒落な歌だったなぁ。

七色の谷を越えて

流れていく風のリボン

輪になって輪になって

かけて行ったよ

春よ春よと

かけて行ったよ

美しい海を見たよ

あふれていた花の街よ

輪になって輪になって

踊っていたよ

春よ春よと

踊っていたよ

すみれ色した窓で

泣いていたよ街の角で

輪になって輪になって

春の夕暮れ

一人さびしく

泣いていたよ

初めて返信用封筒を入れて投函した先は、日本放送協会「みんなのうた」係だった。

「おお牧場は緑」の伸びやかな歌声に少年は「牧場」にシフトした。送られてきた

楽譜は、二つ折りでなく三つ折りになった洒落た楽譜だった。TVの前に座って大きな声で歌った。「みんなのうた」の本が発売された頃に、三つ折りの楽譜の姿は消えた。

「22山麓」で歌うこともなくなった昨今、この日、風呂に入っても歌っていた。久々に歌った。歌うことを忘れていたなぁ。

※「22山麓」は、鳥海山の標高2236Mをオリジナル名詞にした造語です。