26 8月

翠の窓vol.103 : この世のものとは

 

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「この世のものとは思えないなぁ・・・」 ふと、そんな思いが込み上げてきました。

4時を回ってお客様が途絶えた時間に、ほっと一息一休みしながら、外の景色を眺めていたときのことです。

今日も残暑が厳しく朝から太陽が照りつけていましたが、この時間日はまだ高く、若草色の田んぼ一面を照らしています。色づき始めた稲穂がきらきら輝くようです。薄く煙るような鳥海山、秋を思わせる青空には白い夏雲が高く伸び上がっています。何もかもが耀いて見えます。

「絵に描いたような景色」と言うことがありますが、絵や写真では、この『生きている』眺めを写し取ることは到底できないことでしょう。

時折通る車のほかには動いているものはほとんど無く、静かで、穏やかで、しかし生気に満ち満ちて、何と美しい眺めなのかと見入ってしまいます。

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都会の喧騒やら何やらの世の中と同時進行しているとは信じ難いような、時と場所です。私共にとってここは正に桃源郷なのだと、この場所に巡り合った幸運に感謝しつつ、Suiを訪れる皆様にも、幸せなひと時が過ごせる場所であり続けたいと願っています。                (Y)

2012・8・26

18 8月

翠の窓vol.102 : 一期一器

 

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友人のMさんに手料理をご馳走になり、

「はい、デザート。」

と言って差し出された器を見てびっくりしてしまいました。

美味しそうなゼリーがのっていたのは、白地に薄いブルーの小さな水玉を散らしたデザート皿とソーサー、どちらも縁が波のようにカットされ、小さな丸い穴が施されているのがレースのようです。

なんとなつかしい・・・ この器に初めて出合った40年も前のことが一挙に思い出されました。デパートの「たち吉」に出されていたこのデザート皿は本当に愛らしく一目で気に入って、デパートに行く度に何度手にとって見たことでしょう。若い友人や知人の結婚のお祝いには、迷わずこの器のセットを贈っていました。

なのに何故か、自分のためには買い求められずにいました。飛び抜けて高い値段でもなかったと思いますが、若い自分には贅沢と感じられていたのか、そのうちそのうちと見送っていたのかもしれません。

思い返せば、この器との出会いが私の器好きの原点となったように思われます。こんな風に再会することがあるとは思ってもみませんでした。思いがけなく開かれた私の青春の1ページ、甘酸っぱいゼリーをおいしくいただきました。

みなさまにも、Suiの器のコーナーで「この一器」に出会っていただけることがあったら幸せです。

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(Y)

2012・8・18

01 8月

翠の窓vol.101 : 『フェアリー・アイ』(妖精の瞳)

 

ここ数日「今日が一番暑いみたい。」と言い続けで、日々暑さが更新されているように感じられます。

隅田の花火

隅田の花火

今日から8月、これからが夏本番とすれば、まだまだ暑さが続くということでしょうか。

初夏からずっと目を楽しませてくれた紫陽花も、そろそろ終わりのようです。

この地に住み始めたときは、裏の川辺に小さなブルーの紫陽花が一株あっただけでしたが、その株は今や自重で折れてしまいそうなほどに大きく育ち、その他にも、家人がこつこつと挿し木をして増やしてきた紫陽花が種類もいろいろに育ちました。この時期は惜しげなく切って、店内もいろいろな紫陽花で飾ることができました。

中でも、丸い花びらが三重に重なって咲く紫陽花は、多くのお客様の目を引いていました。あるお客様が『薔薇紫陽花』と言ってくれたので、その名で呼んでいましたが、知人が調べてくれて、これは『フェアリー・アイ』という名で、「フラワーオブザイヤー」なる賞を受けている名花と知り、びっくりしてしまいました。

3年前に鉢植えでいただいた時は、優しいピンク色をしていましたし、小さな薔薇が寄せ集まったような可憐な様子は、フェアリー(妖精)そのものです。地面に植えて育ったものは美しいブルーですが、来年は何とかピンクのものも育てたいと家人が張り切っています。

フェアリーの名に似合わず、茎がしっかりと育ちとても丈夫ですが、日向に咲いていると退色してしまうのが難点です。切花にして室内に置くと色も褪せず、数週間もピンとした状態で咲き続けてくれます。

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『フェアリー・アイ』(妖精の瞳)に会えるなら、7月の暑さは我慢する甲斐があると言えましょう。           (Y)

2012・8・1