10 11月

三佐川美知子展 テンペラ画

三佐川美知子展 テンペラ画

 

「三佐川美知子展」に、ようこそお出でくださいました。

幼少期をドイツで過ごした三佐川美知子さんは、やがてドイツテンペラ技法に出会い、その技法が気に入って描き続けてこられました。

 ドイツテンペラの技法では、固着剤として全卵を用い、ダンマルワニスとテレピンオイルを加え、絵具(顔料)を混ぜて使用します。

 この技法では、通常の油絵よりも乾きが早く、描き直しなどがスムーズにでき、全体的にふんわりと優しい感じに仕上げることができるそうです。

 この度、三佐川さんの作品を通して、テンペラ画を初めて意識して見る機会を得て、そのやさし気な風合い、描かれたものの神秘的で静かな佇まいに、ふうっと引き込まれています。

 三佐川さんは、これまでの画歴の中で、数々の展示会での受賞を重ねてこられると共に、国内外での個展も多数開かれるなどのご活躍を続けられています。

 この度は、小さな町の小さな小さなギャラリーでの個展を快くお引き受けいただきました幸いを、皆様と共に喜びたいと思います。

 三佐川さんの作品世界で、どうぞごゆっくりお過ごしください。

 

     会期 11月10日(土)

12月8日(土)

09 11月

「三佐川美知子展」へようこそ

                        翠の窓vol.188

「三佐川美知子展」へようこそ

 

鳥海山の紅葉の帯が麓近くまで広がり、初冠雪から半月、山頂付近の白さが増して、日があたると文字通り白銀となる様には、その都度見惚れてしまいます。

麓の紅葉も進んで、庭のの樹は、その立ち姿も良く、オレンジ色と黄色のグラデーションの美しさが見事です。間もなく舞沼の周りにも紅葉が広がり、今年も鳥海山と共に水面に写る絶景を見ることができることでしょう。

昨日、三佐川美知子さんから、待っていた絵が届きました。10日(土)から始まる「三佐川美知子展」の作品です。

昨年、中西麻子展を開催した折に、中西さんが通うアトリエの末宗恵美子さんの紹介で、初めてお会いした三佐川さんがテンペラ画を描いていらっしゃると知り、家人が厚かましくも、Suiで個展をとお願いして、今回の「三佐川美知子展」が実現することとなりました。

荷をほどき、初めて間近に見る三佐川さんのテンペラ画は、いずれもグレイッシュで、その静かな佇まいに、ふうっと引き込まれて見入ってしまいました。

Suiギャラリーが、これまでと異なる雰囲気で、三佐川ワールドが展開されそうな予感がします。

合わせて、11月は、林の中で、末宗美香子さんのインスタレーション作品「おそらくは森のための、あるいは・・・」展を開いています。どこか異界の女性たちが、歌い、踊り、ささやき・・・静まりかえった林も、いつもと違う空気感に包まれます。

秋深まる頃、絵画を鑑賞する楽しみと、自然の中に身をおく楽しみを味わう豊かな一日を過ごしていただけたら幸いです。 (Y)

                 2018.11.7

05 11月

「22山麓」だより 5

「22山麓」だより 5


背もたれのある長椅子に座って、夏の空を見上げている。

♪世界中の汽車をつなげて まだまだ足りない長い橋♪

鳥海山に向かって左の日本海の方から煙を吐いた汽車がやって来る。橋をつなげないと大変だ。 ピースに急いで橋を描いては はめ込んでいく。

今でも、そんなひとり遊びをしていることに気づくこ

とがある。

 

空にらくがき かきたいな

    いっぱい いっぱい かきたいな

かきたいな

世界中の鳥が食べても

食べきれないようなリンゴの木

    空に大きくかきたいな

シュシュシュシュ シュシュシュシュ

かきたいな

                 世界中の犬がほえても

驚かないようなブルドック

                    
 

 世界中の汽車をつなげて     まだまだたりない長い橋

 

先の号に、カジカガエルがいて欲しいことを話題にしたが、ここ「22山麓」でも、カジカガエルが鳴いていた。蜩は午後の部に啼く。日の出前から鳴いている声?このところ意識していたので、それがカジカガエルの鳴き声だとなった。

エンドレスの川の水音に、明け方に重なりだすカジカガエルの鳴き声。お日様が昇りだすと小鳥のさえずりが急になり、オイラは窓から「おはよう」と呼びかける。しばらくすると、オイラのゴム長を履いた家人のぶかぶか長靴のガブガブ音。不規則に鳴ったり止んだり。花の枝を切る鋏の音。不規則に鳴ったり止んだり。店に飾る秋色アジサイの水揚げ作業をしているようだ。「22山麓」の朝の音が融合していく音風景を楽しんでいる。

 

森の中では、末宗美香子さんの森のインスタレーション展の準備中。4m~5mのガーゼ布地に描いた作品。6~7mの高さから下げる設置が一日がかりとなる。店の中では、柳原良平さんの船と海の版画展を開催。アンクル・トリスの優雅な船旅をお楽しみに。                          (B)

2018.8.1

05 11月

「22山麓」だより 4

「22山麓」だより 4

ウッドデッキでビールをやりながら、 口をついてでるのは、コロロ コロロ コロロ コロコロと鳴く蛙の歌である。プロレスラーのジャイアント馬場さんがTVで少年時代に口ずさんだ曲として歌っていた。それを見ながら一緒に歌えたのだから、どこかで聞いて覚えたのだろう。しかし、どこで覚えたか、どこで聞いたか全く記憶にない。馬場さんが口ずさんだ歌詞を何度も心地よく口ずさんでいる。

 

月夜の田んぼで

   コロロ コロロ 

     コロロ コロ コロ

鳴る笛は                   

あれはねあれはね

あれは蛙の銀の笛

     ささ銀の笛

 

先頃、姉弟会があり、温泉宿の岩風呂に浸かって早朝の時間を一人で過ごした。沢の流れの音に澄んだ音が重なり、はて?鳥の鳴き声か?再度の鳴き声に耳を澄ますと、「カジカガエルの啼き声かな。」と思い当たった。緑の樹々の中でカジカガエルの鳴き声が広がって響き渡った。

ここ「22山麓」に着地した時、願ったことがいくつかある。日本の原風景に欠かせない四季折々の「小道具」達だ。サワガニ・ミズスマシ・ゲンゴロウ・タイコウチ・コブナ・メダカ・ホタル・・・カジカガエルもその一つだ。叶わないものもあるが、出会った時の喜びは尋常ではない。そこにいることが確認できただけで「22山麓」の豊かさを十分実感でき大満足である。

ウッドデッキで聞いているのは、ゲロゲロゲログワッグワッグワッと輪唱する蛙の合唱だが、私が小さな声で歌っているのはコロロコロロコロロコロコロ鳴る笛の歌である。

 

「22山麓」のシンフォニー「田園 June」

第3楽章 ホタル がりだした。(B)

2018.6.30

05 11月

「22山麓」だより 3

 

「22山麓」だより 3

 

『枕木のウッドデッキ』ができた。これをSui9周年記念とすることにした。枕木で設置する願望は6年前からの構想である。清里の清泉寮のウッドデッキ、でずしりと重いソフトクリーム片手に八が岳の峰々を眺めながら光と風を感じていたときのイメージが、「22山麓ウッドデッキ」の基本形である。

設置場所が整いだしたところに枕木と出会った。体に堪える作業ではあったが、日に日に広さを増すウッドデッキに励まされ、5月中に何とかSuiオリジナルデッキが形になり、デッキでサル―(Salud)と言って乾杯した。風がグランドミュージック。

 

この音。忘れることができない。アフリカ ケニアのサファリツアー。車のエンジン音を消したら、この空間は、どんな音がしているのだろうと、エンジンを切ることをお願いした。

「動物がどこにいるか分からないから危険。」と言いながらも応じてくれた。わたしは「しーん」とした静寂を想像していたのだが、そこには「ごぉー」という音があった。

「What?」

ドライバーは「Wind」と言った。

地平線が見えるケニアの国立公園。「これは地球の鼓動だ。」と思った。

「22山麓」にも、あの鼓動がある。止むことのない川の水音に、リズムを打つ蛙の音。エンドレスのシンフォニー「田園・June」の1楽章をスーパースペシャル席で聴いている。

 

衣替えの6月。ファッション雑誌を見ていた家人が、「こんなのどう。」と。「どこに着ていくの。熊にでも会いに行くのか。」と笑い話になる。

「22山麓」を意識してお洒落をすると、くっきりと原色が映える。オレンジと緑のダウンを着て雪の原を散歩した姉妹がいた。みどりの中で、黄金色の中で、これからの季節も原色の衣を着て動いている風景が眩しく映える。 (B)  

2018.6.1

02 11月

「22山麓」だより 案山子

 

「22山麓」だより

 

諸木の芽吹きの頃は名残りの雪があり、猛スピードで通過する季節の動きから目を離せない。山の緑の多さもさることながら、地一面が新緑になる時季も見逃せない。田おこしが始まり、緑の畦に囲まれた中は土色に。水が入り銀色の水田。「水鏡」に鳥海山が映し出され、合わせ鏡となった「22山麓」は壮観である。特別な大気感もたまらない。いつの間にか空を見上げ、さだまさしの「案山子」を口ずさんでたりする5月である。

 

元気でいるか 街には慣れたか 元気でいるか 街には慣れたか

友達出来たか 友達出来たか

寂しかないか お金はあるか        寂しかないか お金はあるか

今度いつ帰る              今度いつ帰る

 

城跡から見下ろせば蒼く細い河      山の麓煙吐いて列車が走る

橋のたもとに造り酒屋のレンガ煙突     木枯らしが雑木林を転げ落ちてくる

この町を綿菓子に染め抜いた雪が     銀色の毛布つけた田んぼにぽつり

消えればお前がここを出てから       置き去られて雪をかぶった

初めての春              案山子がひとり

 

手紙が無理なら電話でもいい       お前も都会の雪景色の中で

“金頼む”の一言でもいい         丁度あの案山子のように

お前の笑顔を待ちわびる         寂しい思いしてはいないか

おふくろに聴かせてやってくれ        体をこわしてはいないか

 

 
 

「父は90歳なんですよ。元気なうちに、ここからの風景を見せたくて。」

とは、Suiにやってきた娘さん。

ご両親と一緒に撮った写真はあっても、腕を組んだり肩を組んだりしている写真はないだろうと勝手に思っている。本当は、私がそんな写真を持っていたかったということもあり、たまらなくスナップを撮りたくなる。移動が困難と思われたら店内で。しかし、鳥海山と田んぼの緑を背負ったスナップ写真がいいに決まっている。家族の心通わせる柔和な表情がファインダーに入った時は、ヤッターって感じ。

 

 元気でいるか。街には慣れたか。友達出来たか。

さびしかないか。お金はあるか。今度いつ帰る。

 

 ご家族の愛情あふれるショットを頂戴して、

優しい気分でいられることに感謝している。(B)

02 11月

「22山麓」だより 花の街

 「22山麓」だより

 

石田典子さんの春の作品展を『花と街』とした。

江間章子さんと團伊玖磨さんコンビの『花の街』

が口をついてでた。

ラジオから流れた都会的でお洒落な歌だったなぁ。

 

七色の谷を越えて

流れていく風のリボン

輪になって輪になって

かけて行ったよ

春よ春よと

かけて行ったよ

 

美しい海を見たよ

あふれていた花の街よ

輪になって輪になって

踊っていたよ

春よ春よと

踊っていたよ

 

すみれ色した窓で

泣いていたよ街の角で

輪になって輪になって

春の夕暮れ

一人さびしく

泣いていたよ

 

初めて返信用封筒を入れて投函した先は、日本放送協会「みんなのうた」係だった。

「おお牧場は緑」の伸びやかな歌声に少年は「牧場」にシフトした。送られてきた

楽譜は、二つ折りでなく三つ折りになった洒落た楽譜だった。TVの前に座って大きな声で歌った。「みんなのうた」の本が発売された頃に、三つ折りの楽譜の姿は消えた。

「22山麓」で歌うこともなくなった昨今、この日、風呂に入っても歌っていた。久々に歌った。歌うことを忘れていたなぁ。

 

※「22山麓」は、鳥海山の標高2236Mをオリジナル名詞にした造語です。

02 11月

秋のごちそう

                        翠の窓vol.187

秋のごちそう 

 

角館近郊に住むFさんから、大きな重い宅配便が届きました。

段ボールを開けると、一面黄色の食用菊が並んでいて、その鮮やかさにびっくり。その下には、茎についたままの里芋がごろごろ。更に新聞紙を取り除くと、大粒の栗がどっさり重なっていて、思わずわあっと声を上げてしまいました。栗は、私の大好物。秋のおいしさを詰め込んだ、思いがけない贈り物です。

Fさんのお宅を囲む小高い山々には、栗の木が沢山植えられていて、ご主人が丹精して育て手入れをされています。

いつも栗拾いをさせてもらうのを楽しみにしていたのですが、少し前に電話で話したときに、今年は、天候不順で早く実が落ちて虫食いばっかりだったと聞いて、私が栗拾いの時期を失したのをあまりに残念がったせいでしょう、「畑に入れる栗の葉を集めに行ったら、その下に虫栗が落ちていて、食べるところがあるか心配ですが、失礼な栗を送ります。」との添え書きをつけて、送ってくれたのでした。

家人は、さっそく庭の炉に火を起こして、羽釜で栗を茹で、脇では焼き栗も試みています。

私は渋皮煮を作りながら、茹で栗の中身をハンドミキサーにかけ(西明寺栗なので、虫食いの部分を取り除いても、普通サイズの1.5倍~2倍の身の量がある)、砂糖を加えて、練り上げました。そのまま栗きんとんに、ホイップクリームをかければしゃれたマロンシャンティにパンに、つければ栗ジャムにとたっぷり楽しめそうです。

夕食には、菊はおひたし、里芋はいも煮に。秋の味覚満載の豊かなごちそうに舌づつみ、Fさんの心づくしのおかげで、今日は一日中満ち足りた思いで過ごしました。(Y)

『庄内の美しいハート』                2018.10.17

02 11月

9月のSuiギャラリーで

                        翠の窓vol.186

9月のSuiギャラリーで

 

これまでになく長い酷暑の夏も、9月を目前にして、やっと勢いを弱めてきたようです。

ガラス器で夏仕様の器のコーナーを、そろそろ入れ替える必要に迫られ、8月22日、小松市の九谷青窯へ仕入れに出かけました。

小松駅の駅舎を出た途端、熱風に晒されてくらくら、北陸の地も厳しい暑さに包まれた夏を過ごしていることがわかりました。

九谷青窯に出かけるのも、これで幾度目か。開店して間もなくから、その製品を置いてきましたが、日常使いに惜し気なく使え、あまり気をはらずに求められる安心感もあってか、仕入れた品々は、ふと気付くといつの間にか完売しているということを繰り返してきました。

九谷青窯では、常時10数名の若者が製作に励んでいますが、いずれ独立して自ら築窯することを目ざしている実力を秘めた若い人たちの前奏曲の様な作品の数々は、全国のデパートや器ショップでも変わらず人気を集めているようです。

今回は、新入りの作品がいろいろ。内側に絵柄の入った小鉢には、小さなおかずやお菓子を入れたら、毎日の食卓をにぎやかにしてくれそうです。平鉢、平皿、たわみ鉢なども個性的で、眺めていると我が家のおかずなら何を盛り付けようかと想像が膨らみます。

器好きの皆さんに、楽しい時間を過ごしていただきたい品揃えです。

壁面では、柳原良平さんのリトグラフを展示中です。ところどころにアンクルトリスが顔をのぞかせているので、「あー、あのトリスの・・・」と、アンクルトリスを懐かしむ声が度々聞こえてきます。

優れたグラフィックデザイナーであった柳原良平さんの魅力あふれる作品です。

 

度々の大雨や強風にもかかわらず、稲はたわわに実り、豊かな情景を見せてくれています。稲刈りまでの短い貴重な時間を、Suiの窓からあるいは庭のデッキで、存分にゆっくり過ごしていただきたいものです。(Y)

                          2018.9.1

02 11月

朝の花しごと

                        翠の窓vol.185

朝の花しごと       

 

風の音か?とふっと目が覚め、窓の外を見ると、まだ黒々とした影の中にある鳥海山の頭上に、灰色の雲がきれぎれに飛んで、その一つ一つが朝焼けのオレンジ色にふちどられている光景が目に飛び込んできました。

ちょっとドキッとするような、初めて目にする光景です。台風の影響の雲の流れかもしれません。

まだ起き出すには早い時刻でしたが、涼しさに誘われて庭に出ました。庭を一巡りしながら、店の花の準備にとりかかるのはいつものこと。

この時季、まずはアジサイいろいろ。今年は念願のチョコレートコスモスが元気よく育ち、惜し気なく切ることができます。白い大輪の花はカサブランカ。ヒオウギスイセンも、鮮やかなオレンジ色の花をつけ始めています。

切り取った花は、まずは玄関先の水盤入れていき、まとめて水切りをしておきます。

店内には、いろいろに花を飾りますが、この時季お客様の目を引くのは、アジサイの「フェアリー・アイ」です。バラのように花びらが数枚重なった小花が集まっている様が、とても可憐です。

鉢植えでいただいたものから、家人が数年かけ挿し木をして育て上げたものが、いくつか大きな株に育って沢山の花をつけるようになりましたが、その花があまりに可愛らしくて切るのを躊躇してしまいます。

美しいブルーが、これから少しずつ退化していって、秋色に変化していく様が、またみごとなので、その変化の様子を見ていくのが、これからの楽しみでもあります。

稲も緑豊かに育ちました。花を見ながら庭から畦道への散歩はいかがでしょうか。                     (Y)

                        2018.7.26