29 12月

元日の朝に

翠の窓vol.146

元日の朝に

              
 

明けましておめでとうございます。 

 

「新年は何日からですか」と聞かれ、「1日からです」とお答えして、半ばあきれられること6年目。今年も、元旦早朝からストーブに火を入れて、お客様をお待ちしておりました。         

Suiの目の前の、優美な鳥海山の右裾野に昇る     元旦の空

初日の出を見ていただきたいと願ってのことですが、

今日は初日そのものを見ることはできませんでした。

鳥海山には薄いグレーの雲がかかり、両裾野も雲におおわれていましたが、その上には青空も見えていて、雲の陰に初日が出ている気配があります。グレーの雲のひとところには初日の光が差し込んで、初日の明るい力強さを感じさせています。

店を整えてから、まずは、山全体がご神体である鳥海山に向かい、柏手を打ちご挨拶するのが、わたしたちの恒例の初詣です。

昨年末に、我が家の1年間の十大ニュースを挙げてみましたら、

美しい暮らしを奏でる4人展開催

裏の林のプロジェクト開始

遊佐米で玄米焙煎 玄米コーヒー試作 など

そのほとんどはSuiに関わることばかりで、Sui中心の生活であったことを物語るものでした。更に、その大半は、今年につなげて発展展開されることを期待したい事柄です。

 移住直後イメージしていた、のんびりしたセカンドライフとは、大きく軌道修正されて、今年もまだまだ、わたしたちなりの新しい挑戦が出来そうな気配です。

 また、あっという間の1年を過ごすことになりそうですが、365日を過ごすことに間違いはないのですから、セカンドライフのささやかな夢が実現される一日一日でありたいと願った元日の朝

2015年1月1日         でした。 (Y)

28 12月

ちょっと大きめがマイ・ブーム

翠の窓vol.145

ちょっと大きめがマイ・ブーム

 

〈取り皿〉

 夕食に、練り物のおでんを土鍋に用意しました。

さて、取り皿は・・・と考えて、先頃入荷したばかりの、正木春藏さんの「鶴松鹿図六寸皿」を使ってみようと思い立ちました。いつもは直径15〜 16cm位の平皿を使うことが多いのですが、「鶴松鹿図六寸皿」は少し大きめで、直径18cm、ふちが緩やかに立ち上がって、深みが3cm弱ありますので、おでんの汁もちゃんと受け止めてくれます。

お皿のふちに辛子を添え、練り物を一つ取って、汁も入れてと使ってみると、余裕のある大きさが心地よく使いやすいのです。鶴・松・鹿・扇と、いろいろ描きこんでいるわりに余白の白地の部分も多い染付の絵柄がよい上に、この大きさが気に入って、このところ取り皿としての出番が多くなりました。

〈受け鉢〉

鍋物をすることの多い季節、我が家の鍋物の受け鉢には、直径14cmの浅めながら鍋物用としては大きめのカップを使っています。フランスのJARS社のシンプルなフルーツカップなのですが、渋いグリーンのフランスらしいシックな色合いで、和食の鍋料理の食卓にも違和感なく馴染んでいます。以前は、一般的な小ぶりの小鉢を使っていましたが、これまた、鍋物の受け鉢としては大ぶりなこのカップがとても使いよいのです。

今日、正木春藏さんから入荷した「松竹梅文碗」がJARS社のカップと形・大きさがほぼ同じなのでびっくり。雰囲気は全く違うものの、使い勝手はきっとよいはず、おめでたい図柄でもあり、お正月の食卓にお勧めです。鍋物の受け鉢のみならず、小鉢として、また、小丼用として、ちらし寿司を入れたり、炊き込みご飯などを入れたり、用途が広いのも魅力です。

 

食卓は、どちらのご家庭でも暮らしの中心となるものではないでしょうか。

心あらたまる新年、いつもの食卓に、一つでも二つでも新しい器が加わることで、心が浮き立ちもし、気分も一新されることでしょう。

来年も、皆様の美しいおいしい食卓作りに、Suiの器をお役立ていただけますよう願っております。 (Y)

2014.12.21

16 12月

心地よい暮らし

翠の窓 vol.189

心地よい暮らし        

 

今年も、「あっという間」の文言通りに、年末が間近に迫ってきました。皆様には、どんな1年をお過ごしだったのでしょうか。

北欧(主としてデンマーク・ノルウェー)に、『ヒュッゲ』とよばれる概念があることを、しばらく前に知りました。

『ヒュッゲ』とは、「居心地のよい雰囲気」というニュアンスを伝える言葉で、衣食住、その他日々の暮らしの中の諸々の場面での心地よい経験を表す言葉のようです。

ですから、例えば、

「家族や友人たちと和やかに過ごす」

「野外に出て自然に身をゆだねる」

「常にアクティブに、自立して暮らす」

「シンプルに美しく住まいを整える」ことなど、

暮らしの全てに心地よさを感じられる生き方をすることを『ヒュッゲ』と言い表しているのだと知りました。

日本語には、一言で同様の概念を表す言葉はありませんが、心地よい暮らしをしたいという『ヒュッゲ』に共通する願いは、誰しもがもち、実践していることでしょう。

皆様にとっての『ヒュッゲ』な時間とは、どのようなものでしょうか。

Suiは間もなく10周年、山麓の小さなティールームに途切れることなくお客様を迎えることができるのは、考えてみれば、ささやかながら、皆様に心地よい場と時間(『ヒュッゲ』な時間)を提供する所と期待していただいているからなのだろうと思い至りました。

「鳥海山と田園の美しい景観を愛でる」

「ギャラリーの作品に親しむ」

「好みの器を求める」

「暖かい暖炉の火を見ながら、飲み物やスイーツでホッとする時間を過ごす」・・・など、これからも、皆様の心地よい時間づくりの場となるように努めたいと改めて思います。 

                                     (Y)   2018.12.10

 

『ヒュッゲ』は、とても奥深い概念です。『ヒュッゲ』を知るとても楽しい本があります。

 

『HYGGE 365日 シンプルな幸せのつくり方』 三笠書房

『北欧が教えてくれた、「ヒュッゲ」な暮らしの秘密』 日本文芸社

07 12月

「遊佐」賛歌

翠の窓 vol.164

「遊佐」賛歌        

 

九谷青窯(石川県小松市)に出向くため、期せずして初めて北陸新幹線に乗る機会を得ました。落ち着いた錆朱色のシート、枕を上下できたり、コンセントが配置されていたり、新しい仕様が見られました。                   

座席ポケットには、これはおなじみのJR東日本の情報誌「トランベール」4月号が入っていて、その巻頭に、沢木耕太郎さんの「夢の旅」というエッセイが載っていました。その中盤に「私はある小説を書いていて、重要登場人物の出身地をどこにしようかと考えながら日本地図を眺めていた。」という一節があって、あっ、これは今朝日新聞に連載中の『春に散る』のことだなと思いつつ読み進めると、

「 遊佐 」

という文字が、前後1行ずつを空白にしてきわだたせて書かれているではありませんか。なんと、我が町遊佐です! 地図を眺めていて、ふっと目に留まった地名が「遊佐」だったのだそうです。

 沢木さんが、その理由のひとつとして、

「何と言ってもその字の美しいことである。軽やかで楽しげでスマートだ。」と書いている一文には、思わず目がパチッとして、何度も読み返し、我が意を得たり、とてもうれしくなりました。

 高畠町の星寛治さん(農民詩人)が、かつて遊佐のことを「庄内の美しいハート遊佐町」と詠まれたということとも相通じる遊佐賛歌と言えるのではないでしょうか。

『春に散る』の登場人物の一人の出身地を遊佐と決めた後で、沢木さんは、遊佐がどんな町なのか気になりはじめ、昨春遊佐を訪れ、周辺の風光明媚な様、特に「朝日を浴びた鳥海山が、田植え直後の田圃の水に映っていたこと」に強く心動かされたと書かれています。

 金沢に向かう車中で何気なく手にした冊子で目にすることができたこのエッセイは、とてもうれしい贈り物でした。

 毎朝、まずは朝日新聞の『春に散る』を読むことを日課にしている家人もきっと喜ぶことだろうと「トランベール」を何よりのおみやげに、カバンに大事にしまいました。

                               (Y)                       2016.4.6