30 5月

秋田杉のプレートに出会う

                         翠の窓vol.211

秋田杉のプレートに出会う


早朝から夏を思わせる陽ざしの中、7号線を日本海沿いに北へ。

道路の両側には、満開のアカシアの木が次々に現れ、開けた窓から、初夏の風にのって入ってくるアカシアの花の香りが、車内を通り抜けていきます。

この日の目的地は、五城目町の「佐藤木材容器」さんです。

現在は、3代目となる佐藤友亮さんが『KAⅭOMI』と名付けたシリーズ展開で、秋田杉のプレート(木皿)を製作しています。

4・5年前、ある雑誌で、大小さまざまの秋田杉のプレートについての記事を見たことがありました。秋田杉というからには、秋田の方が作っているのではと思いつつ、とても気になり心に残っていたのですが、数日前、たまたま、佐藤友亮さんという方が秋田杉のプレートを作っているという内容のTV番組を目にしたので、さっそく連絡をとり訪問が実現したというわけです。

作業場の隣に建つ工房で初めて手にしたプレートは、きれいに磨き出された木目がとても美しく、一つとして同じものがない自然の造形に目を奪われました。

5寸(150mm)の小皿から、2尺5寸(750mm)の大皿まで、圧巻のKAⅭOMIシリーズのプレートは、いずれも軽く、柔らかい優しい手ざわりです。

しかし、この軽く柔らかい秋田杉の特性は、それを皿にするには、大変な手間がかかることなのだと思われます。

まずは、使用感を知りたく、翌朝、朝食を9寸皿を用いてワンプレートにセットしてみました。ご飯、目玉焼き、鮭塩焼、小松菜のおひたしというありふれたものながら、白木のプレートにおさまった姿は、優し気でおいしそうです。

ガラス塗装してありますので、醤油がかかったり、油分が広がったりしても差しつかえありません。

佐藤さんの家族が数年使ってきたという7寸皿は、少し飴色に変化した様が、当初の白木の状態とは違う美しさに変容していて、使いこんでいく楽しみを感じさせました。

どうぞ手にとって、秋田杉の香り、軽さ、肌触りの良さを味わってみてください。そこに盛り付けたいお料理が浮かんでくるようでしたら、うれしいです。 (弓) 2022.5.27