東京メトロでの出来事
翠の窓 vol.162
東京メトロでの出来事
一面の雪景色だった田んぼの雪が解け、田が土色を見せるのも、これで何度目のことか。その都度、冬は薄紙をはぐように少しずつ遠のいているのでしょうか。
それにしても、今朝の空気のまだ冷たいこと。髪にブラシをかけながら、ふと先週の出来事を思い出していました。
その時、私は東京メトロ 九段下で電車を待っていました。ちょうど入ってきた電車に乗り込もうとしたところで、
「すごく素敵な髪型ですね。」
と背後からの声。私のこと?と振り向くと、40〜50才代位の女性が、重ねて、「どちらでカットされているんですか。」
と言うのです。えっ!?「そんなこと言われたの初めてです〜」とか何とか言いつつ、私はそそくさと電車に乗ってしまいました。ホームでニコニコしている女性と目が合ったので、お互いに小さく手を振ってお別れ、ほんの30秒ほどの出来事でしたけど、いやあびっくり。でも、そのとき私はオレンジ色のフード付きコートを着ていて、あちらこそ、思いがけず年配の顔が振り向いたのでびっくりしたのではないかしらと、一人ニヤニヤしてしまいました。
その後、東京駅で落ち合った家人に、この出来事を話すと、
「電車に乗るのを遅らせ
ても、少し話をしてくれ
ばよかったのに。」
とのこと。あゝそうかぁ、北国の酒田にも腕のいい素敵な美容師さんがいることや、庄内のアピールもできたかもと気づいたのですが、後の祭り。
落ち着いた雰囲気のある女性でしたし、せっかく声をかけてくれたのに、一期一会のご縁を全く生かせなかったのが心残りです。
今日から3月。お客様との出会いを一期一会と心にとめて、お迎えしたいと思います。(Y)
2016.3.1