02 11月

林で遊ぶ

翠の窓 vol.168


林で遊ぶ

 

 初めての「山の日」の昨日、Suiの裏手の林を会場に『森の音楽会』(NPO法人いなか暮らし遊佐応援団主催)の催しが開かれました。

 ふだんは、人の姿を見ることはめったにない林の中ですが、昨日は40名程の方が行き来して、いつもと違う生気が漂っているように思えました。

 この地に住み始めたときは、この林は鬱蒼として暗い杉林でしたが、家人はこの林が気になってしかたがなく、日々きれいに整備したいという気持ちをつのらせているようでした。

 5年程して念願が叶い、川沿いの一区画を譲っていただくと同時に、その後ろの区画も、数名の持ち主の方々の「どのように使ってもよい」との好意を受けてお借りすることができ、家人はいよいよ杉林の整備にのり出しました。

 1年、2年、3年・・・と、下草を刈り、積もりに積もった杉の葉や枝を除いていくと、杉の葉の腐葉土に覆われたふかふかの土が露出してきました。びっしりと植えこまれていた杉の樹々の枝は伸び放題で鬱蒼としているのを、適度な本数に間伐する必要を感じていたときに、木を伐り倒す技術を習得し経験を積みつつあった知人のNさん達の力を借りて、間伐を進める一方、遊佐に移住して植木屋の仕事を始めたIさんが、仕事の合間に杉の枝払いを引き受けてくれ、若い俊敏な動きで、全ての杉の枝払いをしてくれました。

 タイミングよく、これらの特殊な技術を持ち合わせた方々と縁ができて、家人が望む通りの力を借りることができたのは、偶然とは言い難い不思議な展開だったと驚くばかりです。

 更に、Suiのお客様として知り合ったMさんは、時間をみつけては、わざわざ鶴岡から来てくれて、林の中の土をならし、道をつくり、階段を作り、川をきれいにし・・・と、家人と共に林の整備を楽しみながら力を貸してくれています。

 このように、いろいろな方の力を借りて、思いの外順調に整備が進んで、一般の方にも林の中に入っていただけるまでになり、『森の音楽会』が実現したのでした。

 Suiのお客様には「遊歩道を作っているのですか?」とよく聞かれますが、この先、どんな形になっていくのか、まだまだ不十分な状態ながら、ああもしたい、こうもしたいと、家人の頭の中は、林のことで満杯のように見受けられます。この林は、家人にとっては、人生の後半に得られた大きな遊び場のようです。

 さて、この後、林はどのように進化していくのでしょうか。願わくば、お客様や地域のみなさまに少しでも喜んでいただける場となっていきますように。 

(Y) 2016.8.12