02 11月

柳原良平「海と空と船」

                      翠の窓vol.176

柳原良平「海と空と船」

 

柳原良平と聞いて、すぐにその人物を思い浮かべられるのは、限られた年代の方になってしまったことでしょう。

 中高年の高に部類される私にとっては、「あゝ、あのトリスの・・・」と、アンクルトリスの独特の風貌が即座に思い浮かびますけれど・・・。寿屋(現サントリー)の宣伝部でデザイナーとして、開高健や山口瞳と共に、一世を風靡し、一時代を築いたのが柳原良平です。

 アンクルトリスと共に思い浮かぶのは、船舶の絵です。世界の帆船や客船をデフォルメして描いたものは、その色合いもシンプルで、一見して柳原さんの船とわ  酒田港 コスタロマンチカ

かります。

 先日、酒田港に入港したイタリア船籍の大型客船を見に行きました。動くビル・動く街さながらの大型船で、さすが港町っ子の酒田市民の方々が大勢見に来ていて、歓迎ムードを高めているようでした。

 Suiの店内でも、お客様が、入港の前後にこの船の話題にしているのが漏れ聞こえてきて、客船に関心を持つ方々が少なくないことを伺い知ることができました。

 そこで、この機会に、柳原良平の客船の絵(リトグラフ)を広く皆様にご覧いただくことにしました。

 大阪に育った柳原さんは、小さい頃から大阪港に行っては様々な船を見、そこに働く方々と知り合って、船のことを詳しく知るようになりました。世界のクルージングも体験しつつ描いた船は、大胆にデフォルメしながらも、その特徴を正確に描いています。

 この度、超一流のグラフィックデザイナーとして、一時代を築いた柳原さんの特色ある作品をご紹介できるのを嬉しく思っています。


Suiの脇の林では、昨年に引き続き、末宗美香子さんの「森のインスタレーション展」を開催中です。末宗さんが描き続けている人物は、妖精を思わせる色と動きを伴って、林の中で踊っているようです。

(Y)

2017.8.11

『山の日』に