02 11月

初夏のたより 

                        翠の窓vol.184

初夏のたより       

         
 

今朝、遠くにカッコウの声を聞きました。カッコウ・・・と一声、しばらくしてカッコウ、カッコウと。この時季、毎年心待ちにしている声は、夏が間近いことを知らせてくれているようです。

Suiの器のコーナーは、ガラス器を並べて夏仕様に模様替えしています。荒川尚也さんが主宰する晴耕社ガラス工房のものです。吹きガラス製作では、泡が出ないように苦労することもあるようですが、荒川さんの作品は、泡を自在に施して、涼し気な模様を作り出しています。一体どのような手技でできあがるものなのでしょうか。

我が家では、今朝ディップ鉢にサラダを盛り付けてみました。タマネギの白、トマトとイチゴの赤、サラダ菜の緑が透けて見え、いつものサラダが少しグレードアップしたみたいです。

これからの季節、食卓にガラス器が加わると、それだけで涼し気な食卓に変わります。

平皿をサラダの取り皿にしたり、水ようかんをのせたり。小鉢はそば猪口にしたり、冷茶を入れたり。花入れやピッチャーには、庭のハーブをざっくり入れたり、アジサイをラフにさしたり・・・と、涼しい演出がいろいろ思い浮かびます。

ガラス器を染付の皿にのせると、涼感に加え、おしゃれ感もぐっとアップします。お試しください。

この夏、皆様の食卓が、お気に入りのガラス器で、よりおいしく涼やかになりますように。

 

壁面には、柳原良平さんの作品を展示しています。

柳原良平さんと言えば、「客船」がすぐ思い浮かびます。Suiギャラリーでは、昨夏『ASUKA』『リオデジャネイロ』など、世界の客船を描いた作品(版画)の展示会を催し、好評を得ましたので、今夏も、作品をご用意する予定です。

それに先立ち、『にっぽん丸2010』など、3作品を展示中です。ガラス器と「海と船」の版画、Suiギャラリーからの初夏のたよりをお楽しみください。 (Y)                   2018.6.1

 

「22山麓」だより

 

『枕木のウッドデッキ』ができた。これをSui9周年記念とすることにした。枕木で設置する願望は6年前からの構想である。清里の清泉寮のウッドデッキで、ずしりと重いソフトクリーム片手に八が岳の峰々を眺めながら光と風を感じていたときのイメージが、「22山麓ウッドデッキ」の基本形である。

設置場所が整いだしたところに枕木と出会った。体に堪える作業ではあったが、日に日に広さを増すウッドデッキに励まされ、5月中に何とかSuiオリジナルデッキが形になり、デッキでサル―(Salud)と言って乾杯した。風がグランドミュージック。

 

この音。忘れることができない。アフリカ ケニアのサファリツアー。車のエンジン音を消したら、この空間は、どんな音がしているのだろうと、エンジンを切ることをお願いした。

「動物がどこにいるか分からないから危険。」と言いながらも応じてくれた。わたしは「しーん」とした静寂を想像していたのだが、そこには「ごぉー」という音があった。

「What?」

ドライバーは「Wind」と言った。

地平線が見えるケニアの国立公園。「これは地球の鼓動だ。」と思った。

「22山麓」にも、あの鼓動がある。止むことのない川の水音に、リズムを打つ蛙の音。エンドレスのシンフォニー「田園・June」の1楽章をスーパースペシャル席で聴いている。

 

衣替えの6月。ファッション雑誌を見ていた家人が、「こんなのどう。」と。「どこに着ていくの。熊にでも会いに行くのか。」と笑い話になる。

「22山麓」を意識してお洒落をすると、くっきりと原色が映える。オレンジと緑のダウンを着て雪の原を散歩した姉妹がいた。みどりの中で、黄金色の中で、これからの季節も原色の衣を着て動いている風景が眩しく映える。 (B)  

2018.6.1