02 11月

秋のごちそう

                        翠の窓vol.187

秋のごちそう 

 

角館近郊に住むFさんから、大きな重い宅配便が届きました。

段ボールを開けると、一面黄色の食用菊が並んでいて、その鮮やかさにびっくり。その下には、茎についたままの里芋がごろごろ。更に新聞紙を取り除くと、大粒の栗がどっさり重なっていて、思わずわあっと声を上げてしまいました。栗は、私の大好物。秋のおいしさを詰め込んだ、思いがけない贈り物です。

Fさんのお宅を囲む小高い山々には、栗の木が沢山植えられていて、ご主人が丹精して育て手入れをされています。

いつも栗拾いをさせてもらうのを楽しみにしていたのですが、少し前に電話で話したときに、今年は、天候不順で早く実が落ちて虫食いばっかりだったと聞いて、私が栗拾いの時期を失したのをあまりに残念がったせいでしょう、「畑に入れる栗の葉を集めに行ったら、その下に虫栗が落ちていて、食べるところがあるか心配ですが、失礼な栗を送ります。」との添え書きをつけて、送ってくれたのでした。

家人は、さっそく庭の炉に火を起こして、羽釜で栗を茹で、脇では焼き栗も試みています。

私は渋皮煮を作りながら、茹で栗の中身をハンドミキサーにかけ(西明寺栗なので、虫食いの部分を取り除いても、普通サイズの1.5倍~2倍の身の量がある)、砂糖を加えて、練り上げました。そのまま栗きんとんに、ホイップクリームをかければしゃれたマロンシャンティにパンに、つければ栗ジャムにとたっぷり楽しめそうです。

夕食には、菊はおひたし、里芋はいも煮に。秋の味覚満載の豊かなごちそうに舌づつみ、Fさんの心づくしのおかげで、今日は一日中満ち足りた思いで過ごしました。(Y)

『庄内の美しいハート』                2018.10.17