春のSui
翠の窓vol.183
春のSui
鳥海山の雪の白さが日に日に薄らいでいくようで、種まき爺さんの姿がはっきりしてきました。
それに呼応するように、Suiの目の前の田には、春の農作業を始める農家の人の姿が戻ってきました。田んぼの活力を揺り起こそうとするような人の動きが見られるのはいいものです。
Suiは4月末、9周年を迎えます。オープン当初は、春という季節の恵みにひたる余裕もなく過ごしたように思われますが、出発に相応しい良い時季にオープンしたものだと改めて感じています。
また、9年も10年も先のことなど想像もできずにいたのでしょうが、Suiの窓から、一日一日の、一年一年の四季の様子を眺めているうちに、いつしかここに立っている・・・ 日々の営みを支えてきてくれた目の前の自然は、何も変わらずに泰然としており、この自然あってのSuiだったのだと思い至ると、9年という長い日々の一喜一憂がちっぽけなものに感じられてしまいます。
さて、周年記念の春の企画展は、今年も石田典子さんの作品展を準備しております。
先日届いた数点の新作の中に、異色の作品がありました。案内状にした街の絵です。力強い筆づかい、大胆な色づかいに魅了されました。石田さんの新境地でしょうか。ギャラリーを元気に明るくしてくれそうです。
外には鳥海山と大地のパワー、内には石田さんの絵のパワー、
4月~5月のSuiで、みなさまエネルギーをチャージしていただけるのではと、期待のふくらむ春です。 (Y)
2018.4.13
「22山麓」だより
石田典子さんの春の作品展を『花と街』とした。
江間章子さんと團伊玖磨さんコンビの『花の街』
が口をついてでた。
ラジオから流れた都会的でお洒落な歌だったなぁ。
七色の谷を越えて
流れていく風のリボン
輪になって輪になって
かけて行ったよ
春よ春よと
かけて行ったよ
美しい海を見たよ
あふれていた花の街よ
輪になって輪になって
踊っていたよ
春よ春よと
踊っていたよ
すみれ色した窓で
泣いていたよ街の角で
輪になって輪になって
春の夕暮れ
一人さびしく
泣いていたよ
初めて返信用封筒を入れて投函した先は、日本放送協会「みんなのうた」係だった。
「おお牧場は緑」の伸びやかな歌声に少年は「牧場」にシフトした。
送られてきた楽譜は、二つ折りでなく三つ折りになった洒落た楽譜だった。
TVの前に座って大きな声で歌った。「みんなのうた」の本が発売された頃に、三つ折りの楽譜の姿は消えた。
「22山麓」で歌うこともなくなった昨今、この日、風呂に入っても歌っていた。久々に歌った。歌うことを忘れていたなぁ。
※「22山麓」は、鳥海山の標高2236Mをオリジナル名詞にした造語です。