10 5月

翠の窓vol.95 : シンボルツリー

 

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クイズです。

『はっぱの形はハート形、秋の枯れ葉はチョコレートの

香り、この木はなんの木?』

ちょっとロマンティックでしょう? この木は、『カツラ(桂)』です。

カツラは日本特産の木ということですが、中国の伝説では月にある木と言われているそうで、益々ロマンティックな香りがしてきます。

さて、ハイマツ、モミジ、ハナミズキ・・・と、何にしようかと迷い続けていた我が家のシンボルツリーは、やっと『カツラ』と決定できそうです。

昨年末象潟の造園師の方にお願いしていたカツラが届いて、丁度Sui3周年を迎えたこの4月26日に、前庭に植樹されました。

株立ちの若いカツラの木は、ハート形の小さなはっぱをたくさん付けているものの幹はまだ細く、ちょっと戸惑いがちな風情で新しい土地にその根を下ろしました。幹が成長し枝を伸ばし更に葉を繁らせて、木陰ができるようになるには何年かかるものでしょうか。

その木陰の下に小さなテーブルと椅子を置いてお茶をいただくというのが、新しく夢に加わり、木のそばに立ってSuiカラーのはっぱを見上げ「早く大きくなぁれ。」と声をかけるのが、毎朝の日課になりました。

Suiの店内は勿論ですが、鳥海山麓の静謐な空気を体中に感じられる庭になるように、家人はあれこれ案を練っている様子。徐々に整備が進んで、庭でのお茶を希望される方が増えたら、それもうれしいなと思っているところです。  (Y)

2012.5.10

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1年目 マスコット 『Sui』 が3000gでやってきた

3年目 『桂』 がやってきた。  名前はまだない。

26 4月

翠の窓vol.94 : Sui 3周年

ここは3分咲き、ここは満開・・・と、用事で出かける度に桜を眺めるのが楽しみな日々となりました。時間に余裕のあるときは、少し遠回りをして覚えのある桜の木の様子を見て帰ります。

マイヅルソウ

マイヅルソウ

春たけなわの気持ちのよい季節、Suiは、今日26日にオープン3周年を迎えました。来店していただいたお客様は、間もなく延べ14000人もの数になります。ご家族連れやお友達連れで、またお一人でも訪れてくださるお客様を迎えながら、こういう場所が必要とされていることが殊の外うれしく、いつも居心地のよい場所でありたいと心がけてきました。

先週の水曜日、「京都から来たんだけど。」と年配の男性が来られました。どうやら遊佐駅の観光自転車を借りて来てくださったようです。自転車で峠を越えるのは大変だっただろうと思いつつ、定休日でしたがお店に入っていただくと、目の前の鳥海山の風景に「これは自転車を押して来た甲斐があった。すごいところだね。」と大感激の様子。

それにしても、何故Suiへ?と思っていると、「10日位前に大阪で買った『るるぶ』に載ってたんでね。」とのこと。しばらく前に、『るるぶ』の取材を受けてはいたものの、私の方がもう発売になっていることに気付かずにいたのと、お客様が小さな記事に目を留めてくださったことにびっくりしてしまいました。山形・秋田への旅の途中とのことでしたが、わざわざ寄っていただいたことには、今度はこちらが大感激です。

多くはお客様の口コミで伝えていただいたSuiが、遠く山形県外でも注目してくださる方が増えつつあるように思われます。日本の原風景とも言える鳥海山麓のこの美しい眺めを、Suiの窓からこれまで以上に多くのお客様にご紹介したいとの思いで4年目をスタートいたします。

(Y)

2012.4.26

4月25日 朝の鳥海山麓風景

4月25日 朝の鳥海山麓風景

 

13 4月

翠の窓vol.93 : Green・Bay

 

 

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「とても素敵な場所で気に入っているところがあるん

ですよ。」

と言って、酒田のグリーン ベイを教えてくれたのは、

鶴岡のお客様でした。

気になりながら、タイミング悪くなかなか行くことが

出来なかったのですが、今年になって、初めてグリーン ベイを訪ねることができました。

ドアを開けた途端、大音響のジャズボーカルに迎えられ息をのみました。喫茶店らしいという以外何も聞いていなかったので、それはびっくりしました。高い天井、広々としたフロア、そこはお店というよりも、まさに音楽ホールでした。

大音響といっても全くうるさいということはなく、ただただ身体中心地よくジャズボーカルに包まれているという感じの初めての体験です。

それ以後Suiの休業日には、酒田に出かけたらまずグリーン ベイに寄ること2度3度、この11日にも訪れました。

壁に飾られた数々のLPジャケットは度々入れ替えられ目を引いていましたが、この日は本棚にあった『戸井三千男ジャズ木版画』と書かれたファイルを何気なく見ていたら、その中に紹介されている作品が壁に飾られているのに気付きました。何ともお洒落な木版画です。スタッフの方にお聞きしたら、あちこちに置かれている木版画作品を出して見せてくれました。色といい、構図といい、人物像といい、どの作品も魅力的で、家人共々釘付けです。二人ともジャズについては門外漢なので題材の背景を読み取ることはできないのですが、それがわかったら、更に更に魅力倍増なのだろうと残念でなりません。

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スタッフの方のお話では、これらの作品はグリーン ベイ オーナーの太田宏さんがコレクションしているものの一部とのこと。その日の内に、太田さんにお会いして、作品をお借りしてSuiのギャラリーに展示させていただくことを快諾していただきました。

Suiは、26日でオープン3周年を迎えます。その記念展として『戸井三千男ジャズ木版画展』を開催いたします。ジャズの香り漂うお洒落な木版画を、どうぞお楽しみに。      (Y)         2012.4.13

01 4月

翠の窓vol.92 : 山中へ 輪島へ

 

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金沢方面へ向かうのは、もう何度目になったでしょうか。運転手の家人も、日本海東北自動車道から北陸自動車道を使っての石川県入りには大分慣れた様子です。前日までの曇り空から一転、快晴予報にも後押しされて、目指すは山中温泉の山背陶房です。

山背陶房の正木春蔵さんを訪ねるのも3度目になりました。雪が多いと聞いていた静かな山間の山背陶房には既に雪はなく、木々の間に小鳥の声が行き交っていました。

正木さんの器を待っている方は多く、出来上がった端から求められていくのが常のようですが、今回は、幸い出来上がったばかりのマグカップや、大きな色絵の鉢や平鉢などを分けていただくことができました。

今や愛らしい色絵の第一人者である正木さんの作品を、一度に数多く見られることは稀です。昨日来店された益子の陶芸家の方も、Suiに置かれた品数と種類の充実に驚かれた様子でした。この機会に大勢の方に、正木春蔵ワールドをお楽しみいただきたいものです。

今回の宿を能登の和倉にとったので、最終日に急遽「輪島」に足を延ばすことにしました。漆器をSuiに置くことは、オープン当初からの願いでしたし、漆器ならこの方の物をと着目していたお店が輪島にあります。

輪島朝市で有名な通りの中程に、その漆器屋さん『市中屋』のギャラリーがあります。随分前に求めて大事に使っていた菓子盆はそのままに、長いこと憧れているお重や、モダンな楕円の長手皿など、あれもこれもまずは自分が欲しい物ばかりです。

帰り際、思いがけず店主であり塗り師の市中佑佳さんにお目にかかることができました。思いきって、Suiに作品を置かせていただきたいとお話したところ、快諾していただきました。なんという幸運でしょう。

Suiオープンにあたり、器は正木春蔵さん、漆器は市中佑佳さんと、漠然と願いながら、お二人ともそれぞれの道の第一人者ですので、無理な望みかと気後れが先立っていましたが、昨年から1年足らずのうちに二つの願いが叶うことになり夢のようです。

市中さんの漆器は、これから充実させていきます。どうぞお楽しみにお待ちください。

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(Y)

2012.4.1

19 3月

翠の窓vol.91 : 北帰行始まる

 

「あれっ、ハクチョウ?」と、お客様の声。
「ああ、そうだねぇ。」と言うお連れの方の目の先を追うと、確かに6・7羽の白い鳥が北の方角へ飛んでいるのが見えました。
 
日が長くなり、空は4時半を回っても明るさを残しています。曇り空に霞ん
だ鳥海山の山頂付近は、薄いグレーの雲におおわれているので、白鳥の白さが際立って、随分遠くを飛んでいるのに左の山裾に隠れるまでその飛行を見ることができました。
そろそろ北帰行が始まっているのでしょう。
 
早朝「クワッ、クワッ、クワッ」という大きな声がするときは、白鳥の群れが飛んできたということがわかります。大急ぎで窓を開け、頭上を見上げて、
大群の真下から見上げるタイミングでも、見る見るうちにその姿は小さくなっ
て雲の色に溶け込んでしまいます。
 
我が家から見渡せる空が、北帰行のルートの一つになっているのでしょうか。大方の群れは、鳥海山の方向に向かうか、鳥海山の左裾野の方へ回りこむように進んで、秋田方面に消えていきます。
毎年この頃になると、Suiの前の田んぼにも白鳥が降り立って、餌をつい
ばんでいる様子を見ることがありますが、今年は、まだその姿を見ていません。ここら辺りへ来る頃は、北帰行途中の腹ごしらえというところかもしれません。
遊佐に移り住んだ頃は、白鳥が田んぼに群れているという現象が物珍しく、あちこちで見かける度にカメラを向けていましたが、今では私たちにもすっか
りお馴染みの冬の風物詩、明日にも目の前の田に降り立ってくれるのではと
心待ちにしています。
(Y)

2012.3.19

01 3月

翠の窓vol.90 : 幸 運

 

3月1日、快晴。朝から青空を背にした鳥海山の真っ白い姿が眩しい位です。

風もなく「春度数」が一挙に上がって、正真正銘の春を感じる一日の始まりに気分が解放されるようです。

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思い立って、玄関の掃除をすることにしました。冬の間、出入りの他は閉めたままだった扉を全開すると、よどんだ空気が一挙に入れ代わりました。つい置きっぱなしにしていた物を全て片付け、掃除機をかけ、棚を拭き、最後にたたきを丁寧に掃くと見違えるようにすっきりした玄関に戻りました。

朝日が長く差し込んで、それは明るくて気持ちがよく、清々としてきます。そうそう、玄関はこうでなくっちゃ! 幸運はきれいな玄関から入ってくるというのもうなづけます。

そういえば、今年は東南の方向から幸運がもたらされると何かに書いてあったのを思いだしました。なんと、我が家の玄関は東南に向いているのです。

これは春からうれしい兆し。冬の間に迎え損なった幸運があったかもしれませんが、2012年はまだまだこれからですから、この先はきれいな玄関を維持しなくては。

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夕方、Suiのお客様が途絶えた頃、知人のMさんが、お茶にしましょうとお抹茶を入れるセットをわざわざ持参して来てくださいました。お菓子は淡い桃色の上生菓子の「椿」と「梅」、にわかのお茶席が春の装いになりました。Mさんの気のきいたおもてなしで思いがけず、美味しくほっとしたお茶の時間を過ごすことができました。

どうやら、これが幸運の第一号だったのかしら・・・     (Y)

2012.3.1

01 2月

翠の窓vol.89 : 春を待つ花 2

 

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<スイセン>

1月に入って間もなく、神奈川県に住んでいるOさんから、大きな花の箱が届きました。この季節に何かしらと開けてびっくり、なんと水仙です。240本も入っていました。どうやら旅先の千葉から直送してくださったようです。

こ れから冬本番という雪国に届いたあまりにも早い春の便りに戸惑いつつ、まずは、正木春蔵さんの大きな鉢にどっさり生けてみましたら、たちまち春の香りが立 ちのぼりました。カウンターの上にも、テーブルの上にも、母屋のあちこちにもと、こんなに贅沢に水仙を飾ったのは初めて。ほのかな水仙の香りは、本当に春 の香りそのものです。

 

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<ケイオウザクラ>

1月ももう終わりという頃、産直に啓翁桜が出ていました。上から下まで蕾がびっしり、蕾の先はもうほのかにピンク色を見せています。迷わずに大きな枝を束ねた一束を求めました。Suiのストーブの温かさの中で、間もなく早い春を見せてくれることでしょう。

(Y)

2012.2.1

30 1月

翠の窓vol.88 : 春を待つ花 1

 

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<ユリ>

毎年12月を待ちかねて、遊佐の土門秀樹さんが栽培しているユリを求めます。カサブランカをはじめとするオリエンタル系の大輪のユリは、白・黄・ピンクと色も華やかで香りも楽しむことができますので、花の少なくなる初冬、Suiを飾る花として定着してきました。

 

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<コチョウラン>

昨年の暮れに、Mさん夫妻が「周りが真っ白になってきたから、色のあるのがいいと思って。」と、胡蝶蘭の鉢を持ってきてくださいました。赤紫色の花が沢山ついて、モノトーンの雪景色を背景に鮮やかなこと。暮れからお正月を飾り、きっとこの後も本格的な春まで目を楽しませてくれることでしょう。

 

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<モクレン>

産直の花のコーナーの枝ものに目が引かれました。ネコヤナギより三回りも大きな柔らかそうな産毛に包まれた蕾は、木蓮のようです。木蓮の花の大きさを思うと、部屋の中で開くことができるのかしらと危惧されましたが、Suiのストーブが手助けしてくれるだろうと求めてみました。店内に置いて1ヵ月、ふっくらと膨らんだ蕾が割れ紫色の花びらがのぞいてきています。開花は間もなくのようです。(Y)

2012.1.30

 

03 1月

翠の窓vol.87 : 確かな約束

1月1日、朝6時半を回った頃、東南の空がにわかに赤っぽくなってきました。灰色の雲の間をぬうようにして、濃いピンク色の光が横に広がっていきます。どうやら、期待していた初日の出を、今年は見ることができそうです。

濃いピンク色の広がりがいったん消えてしばらく経つと、明るい光が雲間から放たれて、山の端から朝日が昇り始めたのがわかりました。光は見る見るうちに眩しくなって、初日が姿を現しました。柏手を打って、新年の始まりです。

新年おめでとうございます。

雪も降らず穏やかな新年の幕開けにほっとしています。今年は、いつにも増して一年の息災と安泰を願わずにはおられません。

2012年 初日の出

2012年 初日の出

2012年1月8日 満月近く

2012年1月8日 満月近く

新年早々Suiを訪れてくださったお客様が、

「わぁ、すごーい。雪にうんざりしていたけ

ど、ここから見る雪景色は全然別ものみた

い。素晴らしい眺めねぇ。」

と、Suiの窓に広がる雪景色に感嘆していらっしゃいました。

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2007年雪のない正月 上:午前10時 下:午後4時 折から、鳥海山にかかる雲の切れ間から日が差してグレイの山襞を際立たせ、雪が銀色に輝いています。毎日見慣れている私たちも、思わず見入ってしまう天然ショーです。

 

 

今年も、目前の鳥海山と田んぼは、日々刻々、四季折々、自然の営みを展開して見せてくれることでしょう。その確かな約束に感謝して穏やかな一年をすごせますよう願っています。    (Y)            2012・1・3

25 12月

翠の窓vol.86 : 正木春蔵展『組み物』

 

2011年が暮れようとしています。

一年を振り返る時、日本国土の厳しい状況を思わずにはいられない辛い年の瀬ではありますが、今年も大勢のお客様に支えていただいたSuiの幸せに感謝しております。

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Suiの2011年十大ニュース筆頭は、陶芸家の正木春蔵さんにお会いしその作品を置かせていただけるようになったことです。

正木さんは、今や色絵の第一人者といえましょう。その色絵や染付けの器は、温かく優しく楽しく・・・遊び心いっぱいで、多くのファンの人気を集めています。私も、いつの頃からかその一人。

Suiには今年初秋から作品を置いていますが、たちまちその虜になられたお客様が何人もいらして、新しい作品が入るのを楽しみにしてくださっていることもあり、この12月、東京六本木のギャラリーで開かれた正木春蔵さんの個展に行ってきました。

一番に目についたのは、一瞬お重かなと思われた『組み物』でした。お重のような蓋物に2・3枚の取り皿が同じ大きさでセットされています。今まで見たことのない組み合わせで、個展では、日常的な器を離れた新感覚の作品が出されるだろうとの期待通りです。平鉢や深鉢、徳利や猪口、小皿や小鉢などの作品も沢山ありましたが、もう組み物に釘付けです。

いろいろなサイズがありましたが、圧巻は底面が30㎝×25㎝ほどもある大きさのサイズの組み物です。高さも25㎝ほどあります。この大きなサイズのものは、赤い牡丹の絵を中心にしたものと、きれいな緑色の絵柄のものがあり、散々迷って牡丹柄のものを求めてきました。

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Suiに展示した翌日には、先程の正木ファンのお一人がやはり釘付けに。

お正月にかけて、正木さんの新しい作品を展示しております。新年も、器コーナーをお楽しみにお出かけください。皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

(Y) 2011・12・25