01 9月

翠の窓vol.45 : 『石田典子 水彩画展Ⅱ』

 

今日から9月、「石田典子 水彩画展Ⅱ」へようこそお出かけくださいました。

鶴岡に移られて3年、庄内が気に入ってもう少し庄内での暮らしを満喫しようと話されていた石田ご夫妻も、この秋に鶴岡を去られるとのことです。

vol45-1

石田典子さんとお話していると、描くことが本当に楽しい、描くことが大好きという思いがひしひしと伝わってきます。描かれるのは、生活の地とされた土地

の風景やそこで出会った土地の風物などですが、それぞれの土地での日々の暮らしを楽しみ描かないではいられないという思いで絵筆をとっている様子が目に浮かぶようです。

ある時、「でも、ヌードを描くのが一番おもしろいと思っているのよ。」と言われ、ちょっと意表を衝かれましたが、沢山のデッサンをお持ちで、今回の展示ではその中の数点(会期中何回か展示替えをします)をご覧いただくことができます。中でも、長く「花門」さんのロビーを飾っていた裸婦の一点は、皆様の印象に残る作品となることでしょう。

暮らしを楽しみつつ描くといっても、展覧会に足を運び、美術書に目を通し研鑽を積まれている日々であるわけですが、展覧会で気になる描き方があれば作者に率直に問い書きとめている手帳をお持ちとのこと、

「意外とあっさり教えてくれるものよ。この手帳は私の宝物ね。」

とのお話も印象的でした。

前回の水彩画展は、田植え前のまだ苗の姿もない頃の開催でした。3ヶ月を経て今や稲がたわわに実っている季節となりました。庄内遊佐の豊かな自然を背景に、『水彩画展Ⅱ』も大勢の皆様にご鑑賞いただけることを願っています。

(Y)  2010.9.1

朝日が昇った瞬間 光と影のコントラスト

朝日が昇った瞬間 光と影のコントラスト

24 8月

翠の窓vol.44 : 翠の窓から

 

お盆や夏休みで帰省された方々を迎えられたご家族が多かったことでしょう。

Suiにも帰省中に立ち寄ってくださった方が何人もいらしたようです。

都区内ナンバーの車で来てくださった男性が、しきりに「いい所だなぁ、素晴らしいなぁ・・・」とつぶやいていました。お声をかけると、

「ぼくも、高校出るまで遊佐に住んでいたんですよ。こんなにいい所にいたんだなぁと思って・・・ここにいた頃は何にも感じなかったけどねぇ。」

とのこと。

翠の窓から「夏雲」

翠の窓から「夏雲」

「いい所ですよねぇ、戻ってきてくださいよ。」

「そうだねぇ、考えちゃうね。でも、あと10年は働かないとね。それからだな、でも考えますよ。」

Uターン候補が一人増えたようです。

「舞沼」に映る鳥海山

「舞沼」に映る鳥海山

地元遊佐に住んでる方々にも、翠の窓からの景色に「すばらしいのう、鳥海

山はいいのう。」と、改めて地元の風景を見直して頂くことも多い1年でした。

我が家を訪れた友人達は、皆この風景に対峙するなり「こんな所があるんだ

ねぇ、すごいねぇ・・・」と異口同音に言いつつ驚き感動し、中には将来遊佐

に住みたいとIターンを夢みている人もいるようです。

翠の窓が庄内へのUターンやIターンの一助となったとしたらと考えると、

心が弾みます。 (Y)                2010.8.24

13 8月

翠の窓vol.43 : 『おふくろの椅子』

 

矢澤金太郎さんの『おふくろの椅子』が入荷しました。

お客様に好評だったどっしりした『おやじの椅子』に比べ、ロッキングチェアタイプなので、優しい雰囲気が漂います。

素材は檜、矢澤さんの作品の特徴であるトビカンナ仕上げの漆塗りでご覧の通りの重厚感。ゆったり座り、本を広げたらそこはたちまち書斎になり、あるときは思索の場となり、刺繍などの手芸を楽しむ場となり、ご家族と語らう場となり・・・

自分専用の椅子があるって、ちょっとした贅沢ですね。それがこの『おふくろの椅子』だったら尚更のこと、毎日どんなにか豊かな気持ちで過ごすことができることでしょう。試しに座って鳥海山を眺めてみました。座面が低いのでとても座りやすく安定感があります。時折自分で揺らしているうちに、すうっと引き込まれるように眠ってしまいました。ちょっとした午睡にぴったり、体のどこにも違和感が残らず気持ちよく目覚めました。

安い買い物ではありませんが、これは確実にご家族に引き継がれていく椅子です。思い出とともに娘さんへ、息子さんへ、そして、お孫さんへ・・・ 豊かな時間と心地よさもそれぞれに引き継がれていくとしたら、ご家庭の核となる宝物になることでしょう。

ちなみに、Suiに置いてある『ゆったりチェア』も同じ矢澤さんの作品ですが、我が家のリビングで10数年、そして今お客様に入れ代わり座っていただいて、ビクともしません。この先、どのように受け継がれていくのかと想像するのは楽しいことです。

(Y)

2010.8.13

30 7月

翠の窓vol.42 : 辻 和美さんのロックグラス

 

注文してから1ヵ月半、待っていた辻和美さんのロックグラスが届きました。

そうそう、これこれ。手に心地よい重みと大きさ、初めて手にしてから1年が経っています。

昨年金沢へ出かけたおり、ファクトリーズーマ(辻さんのショップ)に寄って冷茶をたのんだら、このグラスに入って出てきました。切り子模様のグラスを透してみる薄緑色のお茶がとってもきれいです。暑い夏の午後、ほっとしていただいた冷茶のおいしいこと!

水滴がついてくると、切り子模様と重なって益々涼し気。たっぷり入ったお茶を二口三口といただきながら、一口ごとにグラスを眺めてしまいます。そうか、この器がおいしさを倍増しているのね・・・

その時からいつかは手に入れたいと思っていて、今年それが叶ったというわけです。さっそく水出し加賀棒茶を入れていただいてみました。う~ん満足・・・夕方にはビールを入れてみましら、これもなかなか。この夏は毎日出番がありそうです。

辻さんの切り子はとてもラフに刻んであって、それがとてもシンプルでお洒落です。「花」「霜」「結晶」と三種類の模様から、今回選んだのは「霜」「結晶」。

辻和美さんといえば、あずき色の顔料をかけて模様を削り出した作品が特徴的ですが、年々ファンが増える一方のようで、作品が手に入りにくくなってきました。Suiにも作品が置けるようになったらうれしいのですが、それはまだ先のお楽しみのようです。

(Y)

2010.7.30

17 7月

翠の窓vol.41 : 毎日が「Sui日和」

 

そろそろ梅雨明けかなと思わせる暑い日差しに、稲の緑が輝いて見えます。

田植えをしたのはついこの間のように思いますが、苗はぐんぐん成長して今やふかふかの緑の絨毯を広げています。期せずして、Suiのシンボルカラーと同じ!

「 ティールームSui 」の窓から

「 ティールームSui 」の窓から

「Suiからの風景は、いつが一番いいですか。」

と聞かれ、難しい質問で答えに窮することがありますが、初夏から夏にかけてあたり一面緑が増していく様は、これが一番といってもいいほどの魅力にあふれています。

昨日から今日へ、今日から明日へ、どのように緑が増して濃くなっていくのでしょうか、その境目はわからないけれど、いつの間にか見渡す限りの緑の饗宴です。

雨上がりの夕方Suiを訪れたお客様が、吉出山や鳥海山がグレイッシュなグラデーションに重なり、手前にくるほど稲の緑が鮮やかに見える様子に、

「墨絵と水彩画みたい・・・」

と、感嘆して声を失っているようでした。

「この景色を毎日見られていいですねぇ」と言われることが度々ありますが、本当に幸せなこと。お客様が途切れると、「今日もSuiに来ちゃったね」と言いつつ飽かずこの風景に眺めいっている私たちです。

晴れの日はもちろん雨の日も雪の日も、四季折々毎日が「Sui日和」。お気に入りの風景を見つけてください。

(Y)

2010・7・17

ビオトープ  水鏡

ビオトープ  水鏡

06 7月

翠の窓vol.40 : 「好きなもの」だけで

 

7月になり、『木村昭三 スケッチ展』が始まりました。

昨年Suiをオープンしてから7つ目の企画展になります。

前回の『石田典子 水彩画展』の折り、展示会の案内葉書を持参しギャラリーに入って来られたお客様に「この展示はどこでやっているのですか」と問われて、虚を衝かれたことがありました。余りにささやかな壁面スペースで、お客様のすぐ横の壁面に作品があるのに気付かれないのでした。きっと広々とした展示場に作品が並んでいるとイメージされていたのでしょう。

ギャラリーというにはおこがましいようなものですが、「このギャラリーは貸してもらえるんですか」と問われたことが何度かあります。展示場所として気に入っていただいたとしたらうれしいことですが、貸しギャラリーとして使うことは考えていません。

Suiは、ティールームを中心にして、壁面やコーナーを私たちの好きなもので飾ろうという発想で作りました。貸しギャラリーにすると、どんな立派な作品としても私たちの「好きなもの」に外れるものの展示も受け入れざるを得ず、私たちにとって大変居心地の悪いことになってしまうことが考えられます。

あくまで私的なギャラリーとしての我が儘をお許しいただきたいと思います。

何はともあれ、ギャラリーSuiの一番の目玉は目の前の自然の姿、この前にはささやかなギャラリーは更にささやかなものとならざるを得ません。

(Y)

2010.7.6

30 6月

翠の窓vol.39 : ここは蛍の里

 

1匹2匹3匹・・・と数えていては追いつかないほどの蛍が、今夜もその光を点滅させています。Suiのすぐ横の農道に沿って流れる小川の上です。

黒々とした杉木立を背景にして、右に左に上に下に、時には杉の木の高さを越えて舞い上がる蛍もいて、それはそれは優雅な光が行き交います。数えられるほどの蛍かとみえて、ある瞬間思いがけない数で一斉に光ることがあって、相当数の蛍が集まっていることが分かります。

例年、北側に広がる田んぼの脇の小川に始まって、ここに蛍が見られるようになると、そろそろ蛍の季節もお終いという感じだったのが、今年はちょっと様変わりして、ここが一番見ごたえのある場所になっているようです。

贅沢なことに家の中に居ながらでも蛍見物ができますが、小川の流れの音や蛙の声をBGMにそぞろ歩きしながら、あるいは農道に椅子を出して、蛍を眺めることがここ一週間ほど我が家の夜の楽しみです。

先日、Suiのお客様でまだ蛍を見たことがないという若い方がいて、この幻想的な夏の風物詩を知らないなんて・・・ 遠く幼い日初めて蛍を見た時の思いはどんなだったか忘れてしまいましたが、この若い方が今この光景を初めて目にしたとしたら、生涯の感動の上位を占めていくのではないでしょうか。

明日から7月、鳥海山の山肌を這い上がっていた緑は頂上付近に達し、稲の緑がさらに厚みを増して、Suiの窓からの眺めは夏本番の景色に向かっています。

(Y)

2010.6.30

18 6月

翠の窓vol.38 : 蛍の季節

 

Suiを訪れるお客様から、ちらほら蛍の話題が出るようになりました。

6月15日の夜、様子を見に行った家人が10匹位飛んでいると言いながら戻ってきました。

いよいよ、今年も蛍の季節がめぐってきたようです。

昨夜、遅い夕食を終えた8時過ぎに、二人で家の裏手に出てみましたら、あっ!いるいる・・・ 1匹2匹と頼りなげな光を放って飛んでいるのが目に入りました。

「今年の初蛍だ。」

と言いつつ田んぼの方へ回っていくと、草の中に1匹2匹、田の脇の流れの上にふわふわ飛んでいるのが3匹4匹と見えます。暗さに目が慣れてくると、少し離れた所の流れのあたりにも、田んぼの上にも点滅する光を見ることができました。

数はまだ少ないのですが、飛び始めの季節としてはいつもより広範囲に飛んでいるようで、今年はたくさん見られるのではないかと期待がふくらみます。

昨年の秋に、この小川の岸の崩れを補修する工事をしていて、蛍の餌になるカワニナが減っている様子を見て、今年の蛍はあまり期待できないかもと気落ちしていたのは取り越し苦労だったのかもしれません。

この場所に住んで4年、毎夏の蛍見物は私たち二人の独占状態でしたが、昨年Suiをオープンしてお客様に蛍が飛ぶことをお話したので、昨年は何組かの方々が蛍見物に訪れていました。

気温が低いと蛍はあまり飛び回りません。蒸し暑いくらいのときは飛び方が活発で、数十匹の蛍がいっせいにふわふわと飛び上がっている様は、それはそれは幻想的で声を失います。

今年も、美しい初夏の風物詩を皆様にお楽しみいただきたいものです。

(Y)

2010.6.18

01 6月

翠の窓vol.37 : 森の贈り物

 

「カッコー カッコー・・・」

あっ、カッコウが鳴いた!

早朝、眩しい朝の光が部屋いっぱいに差し込んで、今日は暑そうだなぁと開けた窓からは、思いがけず涼しい風が入ってきて思わず深呼吸してしまいます。

新聞を広げていると、カッコーの声が開けた窓からはっきり届きました。

「カッコー カッコー カッコー」と二声、三声が3度聞こえて、あとはぷっつり途絶えてしまいました。

数日前に、家人がカッコウが鳴いてるよと言っていましたが、耳をすましても聞こえたような聞こえないような曖昧さで残念だなあと思っていたのです。

水無月初日の天空 「白い月」

水無月初日の天空 「白い月」

今朝は、はっきり北の山の方から聞こえてきました。

小さい頃から、この季節「あっ、カッコウだ」と耳をすましたことを思い出します。いつももっと聞きたいと思っても、決して何度も鳴いてはくれないのはどうしてでしょう。

カッコウの声は初夏を告げる声、6月1日の朝の贈り物に気分爽快な一日の始まりです。

(Y)

2010・6・1

6月1日 「 よーい ドン」

6月1日 「 よーい ドン」

12 5月

翠の窓vol.36 : 緑の饗宴

 

鳥海山の雪解けが進み、種まき爺さんがくっきりと姿を現しています。里では、田が満々と水を湛えられ次々と田植えが進行中、庄内平野が水田として生き返ったようです。

いよいよ緑の饗宴が始まりました。

今日は、小雨の中、大江町までドライブしてきました。高速道から見える小高い山は全体が若緑の山になり、月山への山道に入ると、木々という木々が若緑のグラデーションで目に飛び込んできました。どの木もふんわりとそれぞれの緑色をまとって、若緑が燃え立つようです。

これぞ「春紅葉」。秋の紅葉も素晴らしいけれど、それに劣らぬ美しさに思わず「おー・・・」と声にならぬ声も出て、しばし茫然と見惚れてしまいました。

気が付けば、中心をなす「きみどり」色は、Suiのシンボルカラーと同じ!あっちを見てもSui・Sui・Sui、こっちを見てもSui・Sui・Sui・・・

帰りは最上川沿いに走ってきましたが、最上川の対岸の山も、小雨にけぶりながらも新緑をまとった美しい姿を見せてくれました。

私たち自身も緑をまとったような気分の爽快なドライブでした。

Suiの窓からの眺めも、日一日と緑を増しています。四季の中でもひそかに心浮き立つような初夏が訪れたようです。    (Y)

2010.5.12