30 6月

翠の窓vol.39 : ここは蛍の里

 

1匹2匹3匹・・・と数えていては追いつかないほどの蛍が、今夜もその光を点滅させています。Suiのすぐ横の農道に沿って流れる小川の上です。

黒々とした杉木立を背景にして、右に左に上に下に、時には杉の木の高さを越えて舞い上がる蛍もいて、それはそれは優雅な光が行き交います。数えられるほどの蛍かとみえて、ある瞬間思いがけない数で一斉に光ることがあって、相当数の蛍が集まっていることが分かります。

例年、北側に広がる田んぼの脇の小川に始まって、ここに蛍が見られるようになると、そろそろ蛍の季節もお終いという感じだったのが、今年はちょっと様変わりして、ここが一番見ごたえのある場所になっているようです。

贅沢なことに家の中に居ながらでも蛍見物ができますが、小川の流れの音や蛙の声をBGMにそぞろ歩きしながら、あるいは農道に椅子を出して、蛍を眺めることがここ一週間ほど我が家の夜の楽しみです。

先日、Suiのお客様でまだ蛍を見たことがないという若い方がいて、この幻想的な夏の風物詩を知らないなんて・・・ 遠く幼い日初めて蛍を見た時の思いはどんなだったか忘れてしまいましたが、この若い方が今この光景を初めて目にしたとしたら、生涯の感動の上位を占めていくのではないでしょうか。

明日から7月、鳥海山の山肌を這い上がっていた緑は頂上付近に達し、稲の緑がさらに厚みを増して、Suiの窓からの眺めは夏本番の景色に向かっています。

(Y)

2010.6.30