20 8月

食卓を美しく豊かに

翠の窓vol.157

食卓を美しく豊かに157-1

 

正木春藏さんから、染付のお皿が届きました。

直径11cm〜25cmの小皿から大皿まで4種類です。ブルーの濃淡で花や鳥が描かれていて、ふちに施されている筋状レリーフが、単調になりがちな円い皿とは一線を画すアクセントになっています。

「双鳥文大皿」(直径25㎝)は、ディナー用としても大きめ、一人分のカレーライスやパスタなどを盛り付けても、周りの花柄が見え、何ということもないお料理が一段とおいしそうにきれいに見えます。大皿として、3〜4人分のお惣菜を盛り付けても見栄えがします。

「草花文6寸皿」(直径19、5㎝)は、少し大きめの取り皿として重宝します。時には、2・3種類のお惣菜を取り分けることもできますし、サラダを取り分けてもきれいです。

「草花文5寸皿」(直径15、5㎝)は、少し深さもありますので、スープ餃子の取り皿として使ってみました。初めは餃子を取り分けてポン酢をかけて食べるのに使い、後からスープや野菜を取り分けても、その深さがスープを受けとめて具合よく使うことができました。

「草花文小皿」(直径11、5㎝)は、手塩皿として、漬物や小さいお惣菜を取り分けたり、醤油皿として使ったりと、使い道はいろいろ、箸置きとしても兼用できます。

今回、この4種類を使ってみて、それぞれの大きさや深さ、周り(リム)の立ち上がり具合などが、本当によく考えられていると実感しました。

若い方の一人暮らしや、新生活の二人暮らしの家庭で、この種類を1セットなり2セットなり揃えたら、とても便利で且つ美しい食卓を整えることができることでしょう。気持ちも豊かになれましょう。

黒い塗りの折敷にこの皿をセットしてみると、ブルーの色が一段と冴えて、一気におもてなしの配膳になりました。

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今一番のおすすめの器です。       (Y)

2015.8.20

01 8月

秋色アジサイを愛でる

翠の窓vol.156

秋色アジサイを愛でる156-1

 

8月、夏まっさかりのこの時期に、今年も秋色アジサイの季節がやってきました。

8年前、この地に住み始めたときは、川辺に青いアジサイが一株あるだけでしたが、鉢植えで頂いたものや新種を求めたものを、家人が地植えにしたり、挿し木で増やしたりして、今や40株を超える様々なアジサイが咲くようになりました。

それらは、今年も初夏から2ヶ月余り、庭を彩るだけでなく、Suiの店内を飾る花としても楽しんできました。

中でも「フェアリーアイ」(フラワーオブザイヤーに輝いたこともある)という品種は、花びらの重なりがバラのような愛らしさで、今年も多くのお客様の目を引きつけているようです。

フェアリーアイが初めて庭で咲くようになった年の夏、盛りを過ぎて咲き残った花の色の変化にびっくりしてしまいました。鮮やかなブルーだった花が、部分的にブルーを残しつつ、モスグリーンに退色して、それはシックな色あいに変化していたのです。まるで違う花が出現したかのように完成された美しさです。

他の花もよく観察すると、白いアジサイは、薄いグリーンから、花びらの先だけが赤く染まっていき、青いアジサイは、グレーに退色しつつブルーとのグラデーションを作り、それぞれに柔らかなやさしい秋色に変化していくのでした。

これらの落ち着いた色合い同士のアジサイを束ねると、それは見事な秋色アジサイの花束になりますので、それを飾るのが、この時期の私のとっておきの楽しみになっています。

初夏から初秋まで目を楽しませてくれるアジサイ、何と息の長い花でしょう。家人は今年もまた新種を挿し木にしているようです。

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(Y)

2015.8.1

01 7月

白いラベンダー

翠の窓vol.155

白いラベンダー155-1

白いラベンダーが咲いているラベンダー園があると聞いたのは、1年前のことでした。残念なことにシーズンが終わったばかりという時期でしたので、それから1年待って、今日やっと白いラベンダーを見ることができました。

紫色のイングリッシュラベンダーが広がるラベンダー畑の中に、白いラベンダーが咲きそろっている一角がありました。初めて見る光景です。花が終わりかけてくると、うす紫色が出てくるそうで、遠目にも少しピンクがかっているように見えましたが、最盛期には、まっ白に咲きそろうのだそうです。

その名は『美郷(みさと)雪(せっ)華(か)』、雪の結晶のように白い可憐な花を思わせる名称です。

白いラベンダーは、2005年美郷町ラベンダー園の中で見つかった白っぽい花の増殖を試みて生まれた花で、2013年に品種登録されたオリジナル品種なのだそうです。

実は秋田県美郷町の六郷は、私の第二の故郷、小学校低学年から10年余りを過ごした懐かしい地です。今日は、六郷に在住する2人の同級生が案内役をかってくれて、ラベンダー園を見学することができたのでした。小雨けむる奥羽山脈を背に、深緑の杉林の前に広がるラベンダー畑は、故郷の新しい顔でした。

白いラベンダーの苗を求めることができたので、家人はさっそく挿し木を試みたいようです。Suiの庭に白いラベンダーがうまく根づいてくれるでしょうか。

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紫色のラベンダーと並んで白いラベンダーが咲きそろう光景を想像すると、わくわくしてきます。   (Y)    2015.7.1

11 5月

モーニング Suiへお誘い 

翠の窓vol.154

 モーニング Suiへお誘い154-1

 

早朝、用事があって我が家を訪れたNさんを、Suiの店内に案内しました。

鳥海山の右裾野から昇って間もない大きな朝日が、もうキラキラと眩しく輝いて、今日の晴天を約束してくれています。

背に朝日を受けた鳥海山は、まだ陰になっていて、濃いグレーのシルエットで浮かびあがっています。夕べの雨の露が残る段々の畦道の草々は、若い緑のグラデーションに重なり、こんもりした林の木々は、深い緑のグラデーションで田を取り巻いています。

ああ、なんという美しいみどり・緑・翠・・・の饗宴なのか、自然の彩ってすごい・・・

Nさんも、ただ「ああ、きれい・・・」と言ったきり、あとは「う〜ん」「ふう・・・」とため息をつくばかりです。

帰りがけに、Nさんを散歩に誘いました。田の脇の小川の水の流れの音を聞きながら、農道を大きくひと回り。さわやかな風と空気が身体のすみずみまで流れ込むようです。

「こんな美しい朝を眺めたのは久しぶりというか、初めてというか・・・。コーヒーをいただきながら、こんな時間を過ごせるなんて、本当に贅沢な時間でした。」と名残惜しそうに帰られました。時刻は、まだ7時を少し回ったばかりです。

日中、くっきりとした鳥海山を眺めるのも素晴らしいのですが、それとは全く趣の違う朝のひとときを、皆さんも味わってみませんか。

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すばらしい眺めと、さわやかな空気と、おいしいコーヒーと、散歩道がお待ちしています。モーニングSuiへ是非お出かけください。

(Y)

2015.5.11

 

 

前日までに電話でのご予約をお願いいたします。

予定時刻は6時から7時ごろまで

ご予約は一組とさせていただきます。

26 4月

Sui 6周年

翠の窓vol.153

Sui6周年153-1

 

先日、山形市内の家具工房を訪れ、遊佐で店をやっていると話しましたら、「もしかしたら鳥海山のよく見えるというお店ですか?知人にいい所だから一度行ってみるといいと言われているんですよ」とのこと、こんなところにもSui情報が伝わっているのかとちょっと驚きました。

昨日は、野田(千葉県)ナンバーの車で来られたご家族に、「(Suiは)野田で有名です」と言われてこれまたびっくりしました。

以前、仙台からのお客様に「仙台でちょくちょくSuiのうわさを聞きますよ」と言われたこともありましたっけ・・・

“有名”というのは大分オーバーとしても、かなり広範囲の所で、口コミでSuiを伝えてくださっている方々がいらっしゃることを感じてきた日々でした。

このような口コミ情報に支えられて、お陰様で、本日Suiは6周年を迎えました。

都会を離れ遊佐に移住したのは、のんびりセカンドライフを過ごせればとの単純な思いでしたが、目の前の優美な鳥海山の姿や、広々とした田の広がりが美しいこの風景を多くの方々に見ていただきたいとの思いからお店を始めたのでした。

経営のイロハも採算の見通しも全くないままに、のんきに開店してしまったSuiですが、この景色は喜んでもらえるだろうとの思いだけは当たって、この6年間に本当に、多くの方々にこの豊かで美しい風景を楽しんでいただけたことは、私共の望外の喜びであり、日々の活力でもあります。

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残雪を残す鳥海山、パステルカラーに彩られた春紅葉の林、緑萌え出す田園・・・この季節ならではの明るい光と風を存分に味わっていただきたいものです。  (Y)

2015.4.26

15 4月

カタクリの花の群生に出会う

翠の窓vol.152

カタクリの花の群生に出会う

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用事があって秋田市に出かけた帰り、久しぶりに角館に回ることにしました。

武家屋敷のしだれ桜は、あちこちに少しずつ開花しているところがあって、小さなお花見ができました。

思い立って、知人のSさんの店を訪ねると、折よく店に出ていたSさんから、「桜には早かったけど、カタクリの花を見に行きませんか」との思いがけないお誘い。車で15分ほど山に入ったFさん宅のすぐ裏手の山に案内されて、唖然!! 広い斜面一面がちょうど陽が当たっていて、濃いピンク色の花におおわれているではありませんか。こんなに群生しているとは・・・

かねてから見たい見たいと願っていながら(特に家人は)、なかなかその機会に巡り合えなかったカタクリの群生にあっけなく出会えた瞬間です。その眺めはすごい!としか言いようがありません。

日陰になっている向かい側のこれまた広い斜面一面にも、群生は広がっていて、陽が当たるとそれは見事な眺めになるのだそうです。

それのみならず、少し先の山にも同じく群生している所があると聞いて、車で数分移動すると、まだ雪が少し残っている山道の先に、数本の栗の木がある山の斜面にカタクリの花が点在していました。時期が来ると、この一面もピンク色に染まるのだそうです。どの山も下草が刈られ、きれいに整備されているのはFさんご夫妻の並々ならぬ手入れの賜物であり、それあってこそ、この見事な群生が現出しているのでしょう。

角館に立ち寄ったこと。Sさんに出会えたこと。Sさんがカタクリの群生を見に行こうと誘ってくれたこと。雨の予報がはずれ陽がさす時間に山に行けたこと・・・

全てがうまく巡り巡って、永年見たいと願っていたカタクリの群生についに出会えたのでした。

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不思議な気分で、家人は「度肝を抜かれた」と興奮覚めやらず帰途につきました。めでたし めでたし。   (Y)

2015・4・15

20 3月

3月の日々より

翠の窓vol.151

3月の日々より

 

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2月も半ばを過ぎると、春を待ちわびる気持ちで、早々とお雛様を取り出します。

桃ならぬ満開の啓翁桜を飾り、『雛飾る』の軸を添えて、Suiの雛飾りが整いました。

 

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2月に手に入れた鎚起銅器のビールカップ(翠の窓vol.150)で飲むビールは、期待にたがわずおいしい!ことを、日々実感。泡立ちがきめ細かく、冷たい温度が持続してまろやかなおいしさにはまっています。

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ふきのとうを採りに歩いていて、枯草の中に薄ブルーや

紫の「菊咲き一華」が少しずつかたまって咲いているのを見つけました。店内の一輪挿しに入れると、うつむき加減の花が、いつの間にか花弁をパッと開いて、明るい窓の方向に顔を回していました。

 

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雪解けが早く、すっかり土色が広がっていたころに、雪が戻って、一夜明けたら白一面に。淡い早春の雪はすぐに解けてしまうから、今冬最後の雪景色を楽しみます。

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いちごの季節到来。毎春新メニューに加えるいちごのスイーツ。初めてヨー グルトを使って、今年は「ヨーグルトプリン・フレッシュいちごソース」が出来ました。

季節毎のプリンを目当てに来店してくださるお客様も増えました。なめらかなヨーグルトとフレッシュないちごとの出会い。お楽しみください。   (Y)   2015.3.20

18 2月

玉川堂を訪れて

翠の窓vol.150

玉川堂を訪れて150-1

 

新潟燕市の「玉川堂」に行ってきました。創業以来約200年にわたり、鎚起銅器の製造を続けてきている老舗です。

実は、この1月末に、数年前から折にふれ気になっていた玉川堂のティーポットを手に入れたばかりなのですが、訪れるのは初めてのことです。

銅イオンで、入れたもの(水・湯・酒など)が美味しくなるとの評判、加えて美しい色合いや、ぽっこりした丸い形状など、写真や使い勝手の説明を見ただけで、すっかり魅せられていましたが、高価なのがネックになって、なかなか手に入れるまでに到りませんでした。やっと手に入れたティーポットは、期待にたがわず、毎日のお茶の時間が一段と楽しみになっています。

予約も入れず突然伺ったにもかかわらず、玉川堂では快く迎えてくださって、まずは店舗の奥にある鍛金場で、平らな銅の板から急須が形づくられる過程を見せていただきました。

鎚起銅器は、意外にも、銅板を叩いて伸ばすのではなく、叩きながら縮めていって立体的な形にしていくことを知りました。この日、鍛金場では6名の職人の方々が、銅板をカンカンカンとリズミカルに打って、それぞれに薬缶や花器などを成形する仕事をしていました。

その後、築100年という風情のある日本家屋の店舗で、いろいろな銅器製品を見せていただきました。テーブルの上には、100年前に作られたという灰皿、銅火鉢には、これも50年以上も前に作られたという南瓜型の薬缶が湯気を上げており、こうして日常的に使い続けられてきたことがわかりました。

ショーウインドウで、すぐ目についたのは、ビールカップ。錫メッキを施した上に、紫金色で水玉や帯状の模様を染め付けたスタイリッシュでモダンなカップです。ペアにして2客を求めることにしました。

他にも、コーヒー用の湯沸かしポットや薬缶・水差しなど、欲しいものがいろいろ・・・

とりあえず、今夜は求めたばかりのビールカップで乾杯しようと、家人共々興奮気味に帰ってきました。

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さて、今夜のビールのお味は如何に・・・!?   (Y)

2015・2・18

21 1月

春の兆し

翠の窓vol.149

春の兆し

昨年の秋に、カマキリの卵が示してくれた通り、今年は雪の少ない冬で経過しそうです。149-1

1月に、雪におおわれていない庄内平野を眺めるなんて珍しいこと、すっかり春になったような気分になりましたが、今日は一転、昨夜からの雪で一面真っ白の世界に戻りました。こうしてまた解けたり、降ったりしているうちに、もうひと月もすれば春の兆しをあちこちに見つけられるようになることでしょう。

そう言えば、昨日「雪が解けた所に、小さいバンケが出ていたのよ。味噌汁に入れたらおいしかった。」と、思わずほほがゆるむようなニュースを教えてくれたお客様がいらっしゃいました。雪の下ではもう春の準備が着々と進んでいるんですね。

そして今日、神奈川の山北町の友人から宅配便が届きました。おいしい足柄のお茶の脇に何やら新聞包み、出てきたのはなんと一束の水仙!ぱっと香りが立ちました。春の香りです。庭に咲いていたのを惜し気もなく切ってくださったようです。さっそくお店に飾りました。

数日前には、道の駅ふらっとに、啓翁桜が出ていました。この時期これを心待ちにして買い求めるのは毎年のことです。大きな枝の束を求め、お店のストーブの脇に置きましたら、もうちらほらと蕾がピンクにふくらんできています。

寒い厳しい冬あってこその、待ち遠しい春、心浮き立つ春、暖かい薪ストーブをたよりに、今少しの間、窓の外の白とグレーの美しい冬景色を楽しむことにしましょう。

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(弓)

2015.1.21

01 1月

元旦の朝に

翠の窓vol.146

元日の朝に

 

明けましておめでとうございます。 146-1

 

「新年は何日からですか」と聞かれ、「1日からです」とお答えして、半ばあきれられること6年目。今年も、元旦早朝からストーブに火を入れて、お客様をお待ちしておりました。

Suiの目の前の、優美な鳥海山の右裾野に昇る初日の出を見ていただきたいと願ってのことですが、今日は初日そのものを見ることはできませんでした。

鳥海山には薄いグレーの雲がかかり、両裾野も雲におおわれていましたが、その上には青空も見えていて、雲の陰に初日が出ている気配があります。グレーの雲のひとところには初日の光が差し込んで、初日の明るい力強さを感じさせています。

店を整えてから、まずは、山全体がご神体である鳥海山に向かい、柏手を打ちご挨拶するのが、わたしたちの恒例の初詣です。

昨年末に、我が家の1年間の十大ニュースを挙げてみましたら、

美しい暮らしを奏でる4人展開催

裏の林のプロジェクト開始

遊佐米で玄米焙煎 玄米コーヒー試作 など

そのほとんどはSuiに関わることばかりで、Sui中心の生活であったことを物語るものでした。更に、その大半は、今年につなげて発展展開されることを期待したい事柄です。

移住直後イメージしていた、のんびりしたセカンドライフとは、大きく軌道修正されて、今年もまだまだ、わたしたちなりの新しい挑戦が出来そうな気配です。

また、あっという間の1年を過ごすことになりそうですが、365日を過ごすことに間違いはないのですから、セカンドライフのささやかな夢が実現される一日一日でありたいと願った元日の朝 でした。

2015年1月1日 (Y)

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