01 5月

翠の窓vol.35 : 「石田典子 水彩画展」へ ようこそ

 

昨日、土門さんが代掻きをしてくれたので、目の前の田には今年もいち早く水が張られました。どうやってそれを知るのか、早速ウミネコや鷺がやってきて、餌をついばんでいます。

今朝は、わずかな風にさざ波が立って、Suiは小舟になったような錯覚に陥ります。

今日から5月、「石田典子 水彩画展」の初日を迎えました。

昨晩は、お預かりした25点の作品から14点を選び展示作業をしました。限られた壁面の、どこにどの作品をと思案するのはとても楽しい作業でした。

それぞれにとても雰囲気のある作品が収まって、Suiに新風をもたらしてくれるようです。

「子育てや忙しい家の仕事が一段落してから始めたことで、主婦が描いているものよ」

と、石田典子さんはさらりとおっしゃっています。それも、いつかは描こうという志や素地、そして始めてからの並々ならぬ探究心あってのことでしょうが、やろうという意志があれば、幾つになっても挑戦はできるという励ましをいただきました。

25点を一挙に展示できないのが残念ですが、途中一部を入れ替えして展示いたします。

水田を渡る初夏の風を感じながら、ゆっくりと石田典子さんの世界をお楽しみください。    (Y)

2010.5.1

26 4月

翠の窓vol.34 : Sui 2年目に

 

4月26日の朝日がまぶしく上がってきて、

部屋の中が一挙に明るくなりました。

Sui2年目のスタートを祝福してもらったようなうれしい気分で、思わず合掌してしまいました。

先日、今だから言うけどと前置きして「この山の中で喫茶店をやる?う~ん・・・難しいんじゃないかと思っていた」と打ち明けてくれた方がいました。

そもそも5年前にこの地に住まいを建てたときも、建築に携わってくれた方々が密かに「何でこんな所にわざわざ家を建てるのか?」と言い合っていた

と、これも後から聞かされました。

それが、Suiをオープンして以来、

「よく、この土地を見つけましたね。」

「どうやって、この素晴らしい場所を見つけたんですか。」

と、何人もの方に言っていただくようになりました。

この地に出会い、ましてギャラリー&ティールームを開くなど、自分達の予想を上回る展開で、あららら・・・という間の5年間でした。

しかし、目の前の自然は泰然自若、今年も変らずに四季折々の心休まる景色を見せてくれることでしょう。

晴れた日には晴れた日の、雨の日には雨の日の、雪の日には雪の日の・・・自然の営みを翠の窓からご一緒に楽しみましょう。  (Y)

2010.4.26

23 4月

翠の窓vol.33 : 新しい出会い

 

金沢に行ってきました。

昨年、Suiオープン直前に出かけたときは桜が満開の時期でしたが、今年は新緑が目に鮮やかな中、一年ぶりに九谷青窯を訪ねたのです。

秦耀一さんが主宰する九谷青窯では、常時十数名の若い制作スタッフが、それぞれの発想を生かした日常使いの器を制作しています。素材の磁器に染付けや色絵が施されたシンプルな形で、飽きのこない使い勝手のよいものが提供されています。

Suiの器のコーナーはこちらの器を中心に据えて出発しましたが、お客様にもこちらの器を手にとっていただくことが多かったようです。昨年とは趣の異なった物を求めてきましたのでご覧ください。

九谷青窯からは多くの人気陶芸家が輩出していますが、今回その中の一人、岡田直人さんにお会いすることができました。岡田さんは、白磁の作品を制作しています。幸運にも近く開催される個展に向けて出来上がっている沢山の作品を見せていただくことができました。シンプルでシャープな形状はとても魅力的、探しているものが見つかったという感じでどれもこれも今すぐに使ってみたいものばかりです。

もう一人、金沢に行くと必ず立ち寄るギャラリーで個展初日という切子作家の中村敏康さんにお会いしました。伝統的な切子のイメージとは全く異なる、モダンで繊細な切子に目を奪われました。赤・緑・薄い紫など使われている色も独特な魅力を感じさせます。記念に赤が施されたお銚子を求めてきました。

お二人ともとても爽やかな青年です。今回の金沢訪問で、こんな素晴らしい出会いができるとは予想だにしていなかったことで、Sui一周年の大きなプレゼントをいただいたような気分です。

お二人の作品は、Suiの器のコーナーに新風を運んでくれることでしょう。ご期待ください。(Y)

2010.4.23

10 4月

翠の窓vol.32 : もうすぐ2年目

 

3月に入り、Suiの前の土門さんが時折見回りに来るようになりました。今年の他の仕事始めの段取りをつける頃になったのでしょう。

雪が解けはじめると、枯れ葉色に沈んだ田にいろいろな鳥がやってきて、何やら忙しく餌をついばんでいるのが見られるようになり、静かに休んでいるような田にもいろいろな生き物が活動を始めていたのが感じられました。

「もう少しして田おこししたら、田のパワーが出てくるのう。」

「水が入ったら生き返るの。」

と、お客様も心待ちにしている様子です。

今日から4月。いよいよ春本番となっていく月と思うと心が弾みます。

昨年の今頃は、Suiの建物の工事中でした。2月完成の予定が大幅に遅れていたものの、まだ何とかなると構えていた頃でした。

限られた知り合いに通知した開店案内を頼りにオープンしたSuiでしたが、お客様の口伝えで来店してくださる方が続いて、間もなく1年を迎えることができます。ほんとうにありがとうございました。

秋田・新潟・仙台・東京あたりからも、こちらに来たついでに立ち寄ってくだる方も増えました。目の前の素晴らしい鳥海山の眺めに、わざわざ立ち寄ってよかったとの思いを抱いていただけることは嬉しいことです。

リピーターのお客様をはじめ、より広範囲(全国区?!)のお客様に鳥海山の眺めや遊佐の素晴らしさを知っていただける2年目にしたい!というのが今の願いです。今日は一日、エープリルフールでもありますから、大きな夢も大目に見ていただけるでしょうか。  (Y)

2010.4.1

13 3月

翠の窓vol.31 : 『豆乳ホットジンジャー』はいかが?

 

Suiのジンジャーエールをたのまれた方は、一口飲んで「あらっ」というリアクションがあって「これは他とはちょっと違う!」と感じていただけるようです。

ジンジャーシロップの材料の生の生姜の風味をダイレクトに味わえるからでしょう。

このシロップは、逗子の高嶋さんという方が手作りしてくださっています。石原結實著「体を温めると病気は治る」という本を読んで、夏の暑いときにもあまり体を冷やさない冷たい飲み物を作りたいと、生姜・サトウキビ糖・レモンなど、原材料をほぼ無農薬のものを使うことにこだわって作り上げたものです。

「豆乳ホットジンジャー」熱いうちに どうぞ

Suiでは秋から「ホットジンジャー」もメニューに入れましたら、これも概ね好評で、ジンジャーファンが増えるので、生姜紅茶も出そうかなと考えつつ、ある日ちょっとした思いつきで試作した飲み物に、思わず「うま~い!」と声が出て、Suiの新メニュー『豆乳ホットジンジャー』が誕生しました。

開店の準備が整って、まずは一杯いただくとその日の元気の素が生まれるようで、ただいま、マイブームと言ったところ。

一週間に一度は来店してくださるMさんは、ずっと「玄米コーヒー豆乳ラ・テ」を気にいってくださっていましたが、このところのご注文は『豆乳ホットジンジャー』に変っています。

喉を通るときのかすかなピリッと感を残しつつ、豆乳のせいでホットジンジャーよりおだやかな喉ごしとほどよい甘味を楽しめます。皆様も、一度お試しください。思わず一言「おいしい!」の声があがるとよいのですが。

(Y)

2010.3.13

豆乳ホットジンジャー

豆乳ホットジンジャー

06 3月

翠の窓vol.30 : 春を摘む

 

早朝、三の俣へ水汲みに行きました。

雨上がりで、鳥海山の山頂は雲の中、中腹には横に一直線霧がたなびいています。山に近づくに従って車も霧の中に入っていくようです。

水汲み場では、今日も鳥海山の豊富な水が惜しげもなく音を立てて流れ出ています。まずは一口、口に含んだ水が口中を冷やして喉に落ちていく爽快感は何とも言えません。少し前までは、寒くて冷たくて口に含むことなど思いもしなかったのに・・・

vol30-1

すぐ脇のスキー場は、ところどころ土が見えてきていて、ここにも確実に春が近づいているようです。

帰りは、少し遠回りをしながらゆっくり車を走らせました。

野沢の柿畠の道を走っていると、道の脇に点々きみどり色のものが見えます。「ふきのとう」です。枯れた草むらの中で、このきみどり色は春一番の色。奇しくもSuiのシンボルカラーと同じと気づいたら、ちょっとうれしくなりました。

朝食のお粥に入れようと思い立ち、さっそく丸い小さな蕾を摘んで帰りました。軽く刻んでお粥の仕上げに放つと、ぱっと一年ぶりのなつかしい春の香りが立ちました。

今日は、Suiにも飾ってみようと思います。

(Y)

2010.3.6

裏の「舞沼」の土手から

裏の「舞沼」の土手から

23 2月

翠の窓vol.29 : 「2」がつながった特別な日

 

平成22年2月22日2時22分22秒の瞬間をSuiで共有できたお客様は6名でした。初めて来店された方もいらしていて、「2のつながった瞬間」に出会ったことも、何らかの縁だったように思われます。

22.2.22の朝

22.2.22の朝

この日は朝日に照らされくっきりとした鳥海山の姿が見られました。こんな日はお客様が出かけてきてくださる天気でもあります。実は、千人2千人3千人目のお客様にはささやかな記念の品をお渡ししてきました。お店の区切りの記念日と違って「2のつながる日」も特別な日に思われますが、何かイベントを起こさなければ時間に流されて日常と変らない同じ日になってしまいます。印象に残すだけでもということで、「ウッドピース」をプレゼントしようと思いました。そこに2222222222と書いたら「スワンの庄内」にピッタリの贈り物になると思いながらも「やりすぎだな。」と思い直して袋に入ったままお渡ししました。

私の一人よがりの企画は、居合わせた6名のお客様にも喜んでいただいて、特別な日として印象に残る日とすることができました。こんな特別の日のことを思っていてもお客様が来なかったら淋しい企画になってしまう。そのときは一人でじっと耐えていようという不安もあったのですが、何はともあれ私にとって印象的な日にすることができました。

(B)

2010.2.23

22.2.23 夕 「種まき爺さん」の雪形が現れる笙ヶ岳

22.2.23 夕 「種まき爺さん」の雪形が現れる笙ヶ岳

04 2月

翠の窓vol.28 : 絵を買う

 

私が初めて買った原画は、安野光雅の水彩画でした。

新宿の町を歩いていて、ふと目についた『安野光雅展』の看板に誘われて、小さな画廊に入ってみました。絵本や画集などではなじみになっていた安野さんのやさしい画風の水彩画が展示されていました。

外国を旅行して描いたらしい風景画が20枚ほどもあったでしょうか。ひとまわり見ていくと、幾つかの作品のキャプションに赤いピンがさしてあるのに気がつきました。売約済みということです。そうか、買えるのか・・・とよく見れば、決して安くはないけれど、その当時の私にも、その気になればなんとか捻出できそうな価格です。

スペイン グラナダの小さな教会

スペイン グラナダの小さな教会

当時、絵本だったのか、本の装丁だったのか、画集だったのか、初めて安野さんの絵に出会ってから、その水彩の画風が好きで何冊かの本も求めていました。が、原画を買うという意識は全くありませんでした。

この日、初めて原画を目の前にして、印刷物とは全く異なる魅力に引き寄せられていたのでしょう。一枚求めてみようかと、生涯初めての感覚に襲われ、その気になって見ていくと、これが好きと思う作品には既に赤ピンが付いていました。

安野さんの作品は人気があるのでしょう。あまり広くはない画廊の室内には5~6名のお客様がいて、今にも赤ピンが増えていきそうです。

私は、意を決して一枚の絵を選びました。『スペイン グラナダの小さな教会』と題が付いています。薄いブルーグレーの空を背景にどっしりした赤茶色の石造りの教会が建っています。教会の屋根は濃いグレー、教会に向かう人が一人と一匹の犬が小さく描かれています。とてもシックな色合いにひかれました。

社会人になってあまり年数も経っていない頃で、私の殺風景な部屋に唯一光があたるように、日々の暮らしに豊かな時間を運んでくれたように思います。

それから、これまで幾つかの原画や版画を求めてきましたが、今また、最新の一枚をコレクションに加えようと思っています。Suiに展示していた末宗美香子さんの『2010年カレンダーとその原画展』の中の一枚です。

彼女のカラフルな絵は、きっと春を待つ部屋を明るくしてくれることでしょう。どの壁に掛けようかなと思案中です。

(Y)   2010・2・4

30 1月

翠の窓vol.27 : 除雪初日の出来事

 

Suiをオープンして初めての冬。雪が降る前にお客様に呼びかけたことは、「冬期間は予約制にします」ということだった。

土地のお年寄りが「こんなに雪が降った年は記憶にない」と話してくれた年に移住したので、そのときの積雪量が、まず思い浮かんでしまう。

せっかくお客様と出会えたのに、店の横を流れる川に落ちるような事故があっては一大事なので、お客様と連絡をし合い安全に安心して冬の風景を楽しんでいただきたい思いがあった。

雪かきは川沿いに壁になるように積んで車が落ちないようにしようか。

川沿いにポールを立てリボンをつけて段差の目印にしようか。

大きなプランターにいっぱい土を入れて川沿いに置いておこうか。

など雪が来る前にいろいろ考えた。

12月に雪がドカンとやってきた。2階から眺めながら雪除けの構想を繰り返しているうちに、雪を川に捨てて川筋を出しておけば危険なことにはならないことが分かった。雪除け用の「ダンプ」に雪を載せ雪の上を滑らせて川に捨てると雪のブロックがゆっくり川を流れ出す。透明度のある川に雪のブロックが列をなして流れていく。ブロックのてっぺんは水を含んではいるが水面からちょっとだけ出ている様子を見ながら、「こんな雪でも氷山の一角の真似事をするんだな」と笑ってしまった。川沿いから取り掛かり延べにして8時間の除雪をしたら、冬ならではの広々としたグランドになった。駐車場を道路に近い所に確保するなど冬対応の諸々の事が解消された。

近所の方のご好意で除雪機をお借りすることができ、天気予報でどのように天候の変化を知らされても不安は解消され、雪の日のお客様の来店についても心配無用となった。

除雪初日の出来事である。

川を有効利用しての除雪

川を有効利用しての除雪

(B)

2010.1.30

29 1月

翠の窓vol.26 : 春に向かう

 

「バンケが出そうな天気だのう。」

とのお客様の声。

本当に今日の日差しは春そのもの、朝から、青空に白銀の鳥海山が輝いています。こんなによい天気は久しぶりのこと、雪はあらかた消えてしまい、畦にわずかに白いものが見えるだけです。

Suiをオープンして以来、冬の除雪が大きな課題でした。

vol26-1

12月中旬の大雪第一波では、いよいよ除雪に向き合わざるを得ず、とりあえず人力で雪除けをしましたが、店の横を流れる小川に雪を落としていくと、何とか駐車スペースも確保できました。

この農道脇の小川の流れは、その風情やせせらぎの音がお客様に好評でしたが、雪の季節にも、Suiにとってかけがえのない宝物となりました。

その後、除雪機を貸してくださるとの申し出があって、本当にありがたくお借りすることになり、除雪の心配は一挙に解決することになって心から安堵しました。年が明けて何度か雪が降りましたが、積雪量は少なく、幸か不幸かせっかくの除雪機の出番はまだありません。

暦はもう2月、まだ雪の日はあることでしょうが、「春に向かう」日々と思うと気分は軽やかになります。バンケを摘む日も遠くないことでしょう。

(Y)

2010・1・29

 

満開になった啓翁桜

満開になった啓翁桜