翠の窓vol.2 : 水田
『水田』
我が家から町中へ下りていくとき、遊佐の田の広がりを一望できる峠があります。この峠を、私たちは密かに「ブリューゲルの峠」と呼んでいます。ここから見る様子がブリューゲルの『雪中の狩人』の絵にそっくりの景色なのです。
この峠から、この時期次々と水の張られた田が増え、それが日に反射して輝く様を見ると、これぞまさに『水田』、田が「生き返った」という感じがして心が弾んできます。
翠(Sui)の目の前の土門さんの田にも、今年も一番に水が張られました。
風のないときには、田植え前と苗の背が伸びるまでのわずかな期間、鳥海山が逆さに映るのが見られます。
わずかでも風が出ると、水面にはさざ波が立ち鳥海山はたちまち姿を消してしまいます。さざ波が一定方向に流れるとき、ティールームに座っていると、まるで船に乗っているかのようです。
今日は、土門さんの田の田植えが行われました。水面にはわずかに緑がテンテンとしてくると、田は一段と精気を感じさせるようです。
ティールームに座って、田植機がゆっくり進んでいくのを見ているなんて、なんて
贅沢なことでしょう。この先、翠からは、日に日に変化する田の様子を見ることができますし、土門さん一家が働く様子を見させていただくことになります。
土門さんに感謝しながら、稲の成長と刻々の変化を楽しみたいと思います。
翠から帰られるとき、「ブリューゲルの峠」を徐行して遊佐の水田を眺めてくださったら、それが今日のお土産の一つになることでしょう。
(Y)
2009.5.4