翠の窓vol.27 : 除雪初日の出来事
Suiをオープンして初めての冬。雪が降る前にお客様に呼びかけたことは、「冬期間は予約制にします」ということだった。
土地のお年寄りが「こんなに雪が降った年は記憶にない」と話してくれた年に移住したので、そのときの積雪量が、まず思い浮かんでしまう。
せっかくお客様と出会えたのに、店の横を流れる川に落ちるような事故があっては一大事なので、お客様と連絡をし合い安全に安心して冬の風景を楽しんでいただきたい思いがあった。
雪かきは川沿いに壁になるように積んで車が落ちないようにしようか。
川沿いにポールを立てリボンをつけて段差の目印にしようか。
大きなプランターにいっぱい土を入れて川沿いに置いておこうか。
など雪が来る前にいろいろ考えた。
12月に雪がドカンとやってきた。2階から眺めながら雪除けの構想を繰り返しているうちに、雪を川に捨てて川筋を出しておけば危険なことにはならないことが分かった。雪除け用の「ダンプ」に雪を載せ雪の上を滑らせて川に捨てると雪のブロックがゆっくり川を流れ出す。透明度のある川に雪のブロックが列をなして流れていく。ブロックのてっぺんは水を含んではいるが水面からちょっとだけ出ている様子を見ながら、「こんな雪でも氷山の一角の真似事をするんだな」と笑ってしまった。川沿いから取り掛かり延べにして8時間の除雪をしたら、冬ならではの広々としたグランドになった。駐車場を道路に近い所に確保するなど冬対応の諸々の事が解消された。
近所の方のご好意で除雪機をお借りすることができ、天気予報でどのように天候の変化を知らされても不安は解消され、雪の日のお客様の来店についても心配無用となった。
除雪初日の出来事である。
(B)
2010.1.30