21 8月

翠の窓vol.78 : 正木春蔵さんに会う

陶芸家の正木春蔵さんに会いに、石川県の加賀へ行ってきました。

正木さんの色絵染付けの器に初めて出会ったのは、いつのことだったでしょうか。白地にフリーハンドで描かれた花鳥魚が愛らしく、こういう器があるの!というカルチャーショックとともに一目で気にいってしまいました。

それからは、その時々のお財布と相談しながら一つ二つと買い求め、ある時はお財布事情を忘れてエイヤッと清水の舞台から飛び下りて手に入れた器もあります。

Suiのオープンに際して、器のコーナーに正木さんの作品を置くのが夢ではありましたが、今や幅広い年代に超人気の陶芸家ですので、私どもに器を分けていただくのは無理なことだろうと初めから諦めていました。しかし、夢捨てがたく、思い切ってご連絡をして訪問が実現したのです。

山中温泉の一角に築窯している『山背陶房』は、それが気に入って工房を構えたという欅林の山を背にしてありました。今はお弟子さんをとらず、道子夫人が成形、春蔵さんが絵付けを担当して制作しています。

お二人は、小さなギャラリーを持つだけの初対面の私たちを丁寧に迎え入れてくれ、とても気さくにお話してくださいました。器の雑誌でよく見かける正木さんですが、優しい語り口の方で、あのふわーっとした絵柄の伸びやかな筆致、明るい色使い、ユーモラスな動物たちの表情などが、この穏やかなお人柄から生まれてくるのだと納得しました。

正木さんの器が一つ加わることで、食卓は一気に華やぎ、日々の食卓を美味しく楽しくしてくれることでしょう。

東北地方には正木さんの器を扱っている店は無いようですから、少しずつではありますが、Suiでその魅力的な作品をご紹介していけることをとても嬉しく思います。もう、お手にとって見ていただけましたか?     (Y)

2011.8.21