01 4月

翠の窓vol.92 : 山中へ 輪島へ

 

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金沢方面へ向かうのは、もう何度目になったでしょうか。運転手の家人も、日本海東北自動車道から北陸自動車道を使っての石川県入りには大分慣れた様子です。前日までの曇り空から一転、快晴予報にも後押しされて、目指すは山中温泉の山背陶房です。

山背陶房の正木春蔵さんを訪ねるのも3度目になりました。雪が多いと聞いていた静かな山間の山背陶房には既に雪はなく、木々の間に小鳥の声が行き交っていました。

正木さんの器を待っている方は多く、出来上がった端から求められていくのが常のようですが、今回は、幸い出来上がったばかりのマグカップや、大きな色絵の鉢や平鉢などを分けていただくことができました。

今や愛らしい色絵の第一人者である正木さんの作品を、一度に数多く見られることは稀です。昨日来店された益子の陶芸家の方も、Suiに置かれた品数と種類の充実に驚かれた様子でした。この機会に大勢の方に、正木春蔵ワールドをお楽しみいただきたいものです。

今回の宿を能登の和倉にとったので、最終日に急遽「輪島」に足を延ばすことにしました。漆器をSuiに置くことは、オープン当初からの願いでしたし、漆器ならこの方の物をと着目していたお店が輪島にあります。

輪島朝市で有名な通りの中程に、その漆器屋さん『市中屋』のギャラリーがあります。随分前に求めて大事に使っていた菓子盆はそのままに、長いこと憧れているお重や、モダンな楕円の長手皿など、あれもこれもまずは自分が欲しい物ばかりです。

帰り際、思いがけず店主であり塗り師の市中佑佳さんにお目にかかることができました。思いきって、Suiに作品を置かせていただきたいとお話したところ、快諾していただきました。なんという幸運でしょう。

Suiオープンにあたり、器は正木春蔵さん、漆器は市中佑佳さんと、漠然と願いながら、お二人ともそれぞれの道の第一人者ですので、無理な望みかと気後れが先立っていましたが、昨年から1年足らずのうちに二つの願いが叶うことになり夢のようです。

市中さんの漆器は、これから充実させていきます。どうぞお楽しみにお待ちください。

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(Y)

2012.4.1