翠の窓vol.119 : 水田賛歌
今年も土門さんの田んぼに、いち早く水がはられました。
水が入ってくるや否や、どこからともなく鳥が集まってきます。その数、数十羽、大半は毎年やってくるツグミ。セグロセキレイも独特の動きをしながら、しきりに餌をついばんでいます。
田の土がおこされ、様々な虫が出てきているのでしょう。しかし、鳥たちは、どうやってそれを素早く察知できるのでしょうか?
水が十分に入り、田の一面が水で満たされたとたん、これまた待ってましたとばかりにウミネコが集団でやってくるのも不思議でしかたがありません。
ともあれ、つかの間の休息から目覚めた田が、文字通り「水田」となって息を吹き返し、生きもの達が躍動する季節に、今年もめぐり合えました。
風のない日、鏡のように静かな水面は雪を残す鳥海山を逆さに映し、それは美しい眺めになりますが、実は夜もまた美しいものを見せてくれます。
山すそに近い集落の明かりがいくつか見えるだけの暗闇の中、その明かりが、その数だけ水面に映り静かに揺らめいているのです。それはそれは、幻想的で息をのむ美しさです。
今年も農家の方に支えられ、繰り広げられる自然の豊かな営み、その姿に立ちあえる幸せに心から感謝する日々です。 (Y)
2013.5.1