07 1月

翠の窓vol.25 : やまびこの響きあい

 

1月7日、Suiは、延べ3000人目のお客様を迎えました。

お店を展開することなど考えてもいない頃「万助小屋は高校の山岳部が管理している」ということを知りました。鳥海山に登ったこともない、ましてや万助小屋など見たこともないのに、私には「万助小屋」が興味深い小屋に思えてきました。

以前、月山の清川行人小屋に泊まっているときのこと、記憶は定かでないのですが「国体予選」の競技中に天候が悪化したため、夕方テントを撤収して高校生が山小屋に入ってきました。ずぶぬれの皆さんが声を出すでもなく、手際よく片付けて休みました。翌日は山小屋のおじさんに挨拶をして朝早くの行動でした。小屋はきれいに整頓されていました。あのような高校生が伝統を受け継いでいるのでしょうから、さぞやきれいに管理されているのだろうと私には「万助小屋」のイメージができてしまったのです。

昨年の4月26日に産声をあげたSui。

両手を広げても足りないほど裾野を広げた鳥海山の麓にいます。

健康な暮らしの先に豊かな暮らしを見つけました。

素敵な時間を共有できたらと思います。

と書いて案内状を発送しました。

山麓から鳥海山を眺め、霊気を頂戴している者として何かしら鳥海山に応援できることはないかと考えながら「お客様一人につき5円の積み立てをして山と響きあいたい」と思うようになりました。Suiが丁度一周年を向かえた時に、鳥海山を愉しんでいただいたお客様たちの志として、万助小屋を管理している高校生たちに届けたいと思っています。一周年で何人のお客様を迎えているでしょうか。

2010年もお客様と共にやまびこの響き合いを意識しながら展開していきます。

(B)

2010.1.7

01 1月

翠の窓vol.24 : 『庄内の美しいハート』

 

新年おめでとうございます。

2010年の幕開け、新たな希望を持ってお過ごしのことでしょう。

緑萌えいずる4月にオープンしたSuiの窓から、今は真っ白に雪を頂いている鳥海山が墨絵のような趣で凛とした姿を見せています。私たちは、遊佐に移って5年目の冬景色の中で新年を迎えました。

時折、「何もない遊佐に移って、退屈しませんか」というようなことを聞かれることがありますが、とんでもない、こんなに豊かな地に巡り合った幸運に感謝こそすれ、退屈を感じたことは一度もありません。

おいしい水、きれいな空気、豊かな食材、人々のやさしい心根、そして美しく豊かな自然・・・

遊佐に移って間もなく、かつて、この地を『庄内の美しいハート遊佐』と詠んだ詩人がいたと聞きました。何と素晴らしいフレーズなのか!と衝撃を受けました。この自然の中に住んでみて、遊佐はまぎれもなく『庄内の美しいハート』であることを実感し、またそう例えられることに、誇りを感じます。

今年も、Suiが、『庄内の美しいハート遊佐』の一端を感じていただける場所として皆様をお迎えできたらこれに勝ることはありません。

(Y)2010.1.1

27 12月

翠の窓vol.23 : 我が家の十大ニュース

 

年末が近くなり一年の締めくくりとして、先日、いつも体調について相談をしている先生に健康チェックをしていただきました。

幸い不安材料となることは無く、今年も『健康安全に暮らせた』というのを我が家の十大ニュースの筆頭に挙げられそうです。 そして『ギャラリー&ティールームSuiをオープンした』が続くことになるでしょう。オープンして8ヶ月、間もなく延べ3千人目のお客様を迎えることができそうです。目の前の田の広がりと鳥海山の眺めに魅せられた同じ思いをたくさんの方々と共有したいとの願いは、確実にその道筋をつけることができたと言えましょう。

多くの皆様がわざわざこの山里に足を運んでくださったことに、またSuiを口伝えに広めてくださったことに、心から感謝申し上げます。

さて、皆様のお宅の十大ニュースにはどのような出来事が並ぶのでしょうか。

我が家では、今年の十大ニュースを列挙したら、次の年の十大ニュースとしたいことも考えることにしています。その筆頭にくるのは毎年『健康安全に暮らせた』です。

良いことを、夢を、願いをあらかじめ宣言しておくのは、効力があると信じて。

2010年が、希望に満ちた年になりますように。よいお年をお迎えください。

(Y)

2009.12.27

22 12月

翠の窓vol.22 : モノトーンの世界・カラフルな世界

 

山里が一挙に白くなりました。雪が静かに静かに降り続いて、Suiからの眺めはモノトーンの世界に変りました。

春から秋の景色を楽しみつつ、「冬もいいんでしょうね」と言われる声を度々耳にしていましたが、昨日来店していただいたお客様は、

「ふーん、こんなふうになるのねぇ・・・」

と、すっかり白い世界に見入っているようでした。遠くの林と吉出山あたりは黒に近いグレーの濃淡、時々雲間に見え隠れする鳥海山もグレーに霞んでいます。白一面の田も、田の段差に薄いグレーの影が入っています。

転じて、Suiの室内では末宗美香子さんのカラフルな絵の世界が展開されています。期せずして、外の白い世界との絶妙なコントラストが生まれています。

『2010年のカレンダーとその原画展』は、末宗美香子さんを迎えて順調にスタートしました。カレンダーはとてもおしゃれに仕上がり、絵のように飾って楽しんでいただけることでしょう。

Mikakoのサインが入った専用の額縁も用意しました。表紙を入れて7枚のカレンダーを収納しつつ飾ることができます。2011年も今年と同じサイズのカレンダーを制作していただく予定ですので、続けてご使用になれます。

2010年が、カレンダーの女の子のようにわくわくする日々を運んでくれることを願っております。

(Y)2009.12.22

05 12月

翠の窓vol.21 : 朝に夕に

 

朝目覚めると、まず「今日の鳥海山は・・・」と鳥海山を眺めるのが習い性になっています。

日の出を待って散歩に出ると、朝の空気のなんと清々しいこと、体中の空気を総入れ換えする爽快な気分です。路傍の草には朝露が玉のよう、朝日に照らされてきらきらしている様子につい立ち止まって見入ってしまうことも度々です。

このところ朝のうちは晴れていることが多く、鳥海山は青空にくっきりとした姿を見せています。上がったばかりの朝日を斜めに受けて、山頂の雪が白さを際立たせ、山襞がくっきりとした陰影をつくっている様は、日中には見られない彫りの深い姿で、これは私が今一番好きな姿です。この姿は遠く酒田あたりからは見ることができないのではないでしょうか。

夕暮れ迫る4時過ぎ、海の方へ傾いた西日の照り返しを受けて鳥海山がうっすらとほの赤く染まっていく様も、思わず見惚れてしまいます。いよいよ鳥海山が赤くなったと思う間にほんの数十秒で赤味は去ってしまいますので、目が離せません。

4時過ぎはお客様の足も遠のきますが、近頃この時間をねらって来店されるお客様が少しずつ増えてきました。日中の喧騒を離れてひととき鳥海山に対峙し、ほっとされているのでしょう。お客様が帰られると、私たちもこの時間はほっと一息、お茶を入れ夕闇迫る様子に見惚れています。

早朝の鳥海山を見てみようと思われたらご連絡ください。ティールームに火を入れてお待ちしています。

(Y)  2009.12.5

※ 12月末より雪が深くなってきましたら、Suiの営業は予約を

いただいて開店する予定でおります。よろしくお願いいたします。

23 11月

翠の窓Vol.20 : 薪ストーブに火

 

「この場所に置かれて喜んでいるようなストーブですね。」

と、昨日のお客様に言っていただいた“ヨツールアルファ”。

今年燃やす乾いた薪の確保にちょっとあたふたしたものの、幸い譲っていただけるものがあって一安心しました。

いよいよ数日前から火を入れました。薪ストーブを使うのは初めてなので、まだ薪の燃やし方も試行錯誤しながらの状態ですが、次第に要領がわかってきました。

20坪ほどの店内は30分もすれば暖まり始め、本格的に燃えてくると少し汗ばむほどになります。

ヨツール アルファ

ヨツール アルファ

「柔らかい暖かさですね。」

と、まずはお客様にも好評のようです。

薪ストーブを使っているお客様も多いようで、薪の確保や燃やし方など先輩の話を聞くのも興味深いことです。昨日のお客様には、ストーブ前面のガラスの汚れを拭き取る知恵を伝授してもらいました。

鳥海山の雪の白さが増し、里の紅葉もピークを過ぎた様子、日ごとに冬の気配が濃くなってきました。窓から美しい鳥海山の姿を眺め、温かい飲み物を片手に薪ストーブの炎の心地よさを味わうSuiの空間と時間を、ゆっくりお楽しみください。

vol20-2

(Y)

2009.11.23

 

09 11月

翠の窓Vol.19 : 末宗美香子 再び

 

Suiギャラリーの次回は、末宗美香子さんの『2010年カレンダーとその原画展』を開催いたします。

末宗美香子さんは、東京芸大デザイン科を出て、日本や韓国の企業社屋に壁画を描いたり、本の装丁や挿絵を手がけたり、個展を開催するなど、活躍の場を広げている新進の画家です。

Suiでは、今年4月のオープニングギャラリー『2009年カレンダーとその原画展』や、ギャラリーの壁画で紹介してきました。グリーンさわやかなショップカードも彼女のデザインです。

昨年末、六本木のギャラリーで好評を博したカレンダー展を、Suiギャラリーでは、年が明けてからの4月に開催したのにも関わらず、お客様には「絵を楽しむのだからかまわない」と求めていただいて完売しました。

その後、描かれたSuiの白い壁のブランコを揺らす妖精の姿に、ひそかに末宗美香子ファンを増やしてきているようです。彼女の作品には必ず英語のメッセージが入ります。どのようなメッセージがついているのか見るのもとても興味深いです。画風は少しずつ変化してきているということですから、新作のカレンダーはどのような仕上がりになるのでしょうか。とても楽しみです。

今年は、カレンダー専用の額も個数限定で販売する計画で、額縁には末宗さんの一筆が入る予定でもあります。

I can recognize the songs of most bird

I can recognize the songs of most bird(わたしはどんな鳥の歌も聴き分けられる)

作品が届き次第、11月下旬より開催いたします。期間中、末宗美香子さんが来店する日もありますので、追ってお知らせいたします。

お誘いあわせのうえ、大勢の皆様にご覧いただけますようご案内いたします。

お楽しみにお待ちください。

(Y)

2009.11.9

03 11月

翠の窓Vol.18 : 冬の足音

 

ふと目を覚まして鳥海山を見ると、裾野の方までまだらに白くなっています。頂上付近は雲の中。昨日は上の方が白くなっていたのが下りてきたようです。

今日は、Suiからは白い鳥海山を眺められるかなと思っていましたが、間もなく裾野の方まで薄いグレーの雲が下りてきて鳥海山は見えなくなってしまいました。しばらく見とれていると、アラララ・・・目の前に雪が降ってきました。初雪が降る瞬間を見ました。

この数日、紅葉が里まで下りてきて秋の気配がいよいよ深まった感がありましたが、一気に冬が重なって季節は移っていくようです。

Suiの薪ストーブも、いよいよ始動ということになりそうです。薪の燃やし方がまだ不慣れですが、暖かい火も楽しんでいただけることでしょう。

都会に住んでいた頃は、一年に一回くらいは雪を見たいねと言って電車に乗ったものですが、暖かい部屋でくつろいで、温かい飲み物をいただきながら雪の冬景色を眺めることが日常的にできるなんて、なんという贅沢なことでしょう。これこそ雪国ならではの特権ですね。

雪が本格的になりましたら、除雪やら駐車場の確保などの準備が必要となりますので、Suiの営業は予約をいただいてするということにさせていただきます。ご面倒をおかけいたしますが、電話での予約をお願いいたします。

11月2日8時26分雲が切れる 笙ヶ岳の雪模様

11月2日8時26分雲が切れる 笙ヶ岳の雪模様

(Y)  2009.11.3

23 10月

翠の窓Vol.17 : 薪ストーブが来た

 

Suiに、ついに薪ストーブが運び込まれました。

設置されたノルウェーの「ヨツールアルファ」は、シンプルな形といい、大きさといい、Suiのこの場所を待っていたかのようにぴったりお似合いです。

Suiの暖房は薪ストーブにしたいと当初から考えてはいましたが、諸々のことがあってなかなか決定できずにいたところへ、ふとした話からこのストーブを譲ってもらえることになり、願いが叶ったというわけです。

以前設置されていたところへは、男性5人でやっと運んだという重さだそうで、Suiには分解されて運ばれてきました。ストーブの仕事20年のベテランSさんは、図面もメモも見ることなく手際よく組み立てていきます。二重煙突もかなりの重量のようで、いったいそれがどのように上がるものかと思っていると、煙突口に取り付けた金属の格子枠を巧みに使ってまっすぐ取り付けられました。しかし、さすがの力仕事で作業着の外まで汗が滲み出ています。

午前中かかった作業でしたが、無駄のない職人さんの仕事ぶりは、感心することばかりで見飽きることがありませんでした。

10月21日【水】 いよいよストーブ組み立て

11月には火を入れることになるでしょうか。

身近に薪ストーブのある生活は経験がないので、炎を見ていると時間の経つのを忘れてしまうあの心地よさを、毎日味わえると思うと期待がふくらみます。

Suiでは、冬景色と一緒に暖かい炎を楽しんでいただけることでしょう。

vol17

(Y)

2009.10.23

08 10月

翠の窓Vol.16 : 雨の日もまた

 

大型台風18号の接近情報に、今日は来客0かなぁと思っていたところへ、お客様が一人みえました。

「雨の日はどんなかなと思って。」

とのこと。わざわざ雨の日を選んで来ていただいて、我が意を得たりという感じです。

今日は、朝から小雨が降ったりやんだり、強い風が木々をざわめかせています。鳥海山と手前の吉出山の間から雲が立ち上がって、鳥海山は時折ぼんやりグレイッシュな姿を垣間見せています。

快晴の日、思わず「わあ、すごいねぇ」と言ってしまう晴々した眺めはもちろん素晴らしいですが、今日のような霞んだ色合いの眺めもなんとも言えない美しさです。霧が立ち込めると、目の前の田がやっと2~3枚見えるだけ・・・という日もあります。

早朝には稲にびっしりと朝露がのって、朝日にきらきら輝いています。夕方には、夕日の照り返しで、鳥海山が赤く染まります。

いつ見ても自然のたたずまいは新鮮で、静かな感動に包まれ見飽きるということがありません。

霧が立ち込める季節になりました。隣の沼「舞沼」の朝の風景

霧が立ち込める季節になりました。隣の沼「舞沼」の朝の風景

実は、今日「雨の日は・・・」と来店してくださったお客様は、数日前に初めて来店されたのですが、その時、Suiがオープンして丁度2000人目となったお客様でした。リピーターの方も多く、春から秋へ本当にたくさんの方々に翠の窓からの景色を楽しんでいただいたことでしょう。

稲刈りが進み、田の色模様が変わってきて秋の気配が濃くなってきました。秋から冬へ、これまでとはまた趣の異なった眺めをお楽しみください。

(Y) 2009.10.8