26 1月

翠の窓vol.58 : 和菓子屋さんの春

 

降りしきる雪の中、所用で酒田へ車で出かけました。連日の雪で、除雪された雪は歩道に積まれるしかない様子です。

ザクザクと轍がくずれる道路をそろそろ進む車の助手席にいて、ふと、少し奥まった店のガラス戸の張り紙が目に留まりました。

「あっ、うぐいす餅!」

と思わず大きな声を出してしまいました。和菓子屋さんのようです。店の前の両脇はうずたかい雪でおおわれていて、店先の真ん中のガラス戸しか見えません。そこに大きく「うぐいす餅」の張り紙が出ていたのです。

うぐいす餅が大好物の運転中の家人も、この雪道ではさすがに車を停めることができず「うー残念」と素通りです。

連日の雪降りで冬真っ盛りというのに、「そうかぁ、もううぐいす餅の季節か」と気付くと、気持ちがちょっとほっこりするようです。和菓子屋さんは、もう春なのですね。

和菓子屋さんはどんどん遠ざかり、買い損ねたうぐいす餅をどこかで手に入れたいと思い巡らして、駐車の心配のないスーパーの中の和菓子屋さんを覗いてみようと思いつきました。はたして、うぐいす餅は残りの5個がケースに並んでいました。その隣には、なんとさくら餅がこれも5個、さくら餅は私の大好物なのです。ラッキー!というわけで、うぐいす餅とさくら餅を2個ずつ包んでもらいました。

夕食後に甘い物をいただくことはめったにないのですが、今日は夕食後いそいそと緑茶を入れて、うぐいす餅をいただきました。たっぷりの黄な粉の黄緑色は、早春の色。春の先取りです。

間もなく2月、節分・立春と春に向かう季節になると思うと、ちょっと安心するような気分で心も弾んでくるようです。明日はさくら餅をいただこうっと。

(Y)  2011.1.26