18 5月

翠の窓vol.68 : いつでも一番

 

「ここの風景は、いつが一番いいですか。」と、今日もお客様に聞かれました。その都度「う~ん・・・」と躊躇するのですが、というのも、いつでも素晴らしいからです。でも、あえて言えば、ちょうど今頃。

「初春から緑が萌え出す頃は、それはそれはきれいですよ。」

とお伝えしています。

木々の若芽が出始め、冬の間は色を失っていた林や山がぼんやりと霞がかかったようにけぶってきて、淡いきみどり色の木々の中に山桜などの薄いピンクや白い色が点在するようになると、山はいよいよふんわりとした『春紅葉』に静かに静かにわき立つようになります。

ここ数日ほんのわずかの間に緑色が勝ってきて、数日前からは、緑色の帯が鳥海山を這い登っていく様が見てとれます。空気も澄んでいるのか、昨日今日は、鳥海山がことのほかくっきりと見えゾクッとするほどに感じられるのは私だけでしょうか。

気が付けば今夜はちょうど満月のようです。黄色い大きな月が昇りました。煌々とした月明かりに、鳥海山が浮かびあがり、11時を回っているのに田植えをしたばかりの田に逆さ鳥海が映っているのも見えます。田んぼの遥か先の部落の明かりが4つ5つ、それも田に映りゆらゆらしている様は幻想的で、時の経つのを忘れて見入ってしまいます。

四季折々それぞれの良さ美しさは書ききれるものではなく、この時が一番とは決めがたいのですが、夜明けから夜更けまでの一日の中でも、刻々と変わりつつ思いがけない美しさを発見することが数知れずあります。

自然の営みに脱帽の毎日、豊かな自然の中で生かされている幸せに感謝する日々です。  (Y)

2011.5.18