09 5月

翠の窓vol.67 : 水 田

 

「えっ、これって川なの!?」

初めて来店し、窓の外を見たお客様が頓狂な声を上げました。

Suiの目の前の土門さんの田には、今年もいち早く水が張られ、水田がよみがえりました。風で一定方向にさざ波が立つと、本当に川の流れのようです。そんな時、窓のそばに立ち水面を眺めると、小船に乗って揺れているような錯覚に陥ります。

「これが田んぼになるの?」

と、これまたエッ?と思うようなことを言われる方もこれまで一人二人ではなく、思わず苦笑してしまうこともあります。庄内平野を見慣れていることでしょうに、店の中から間近に見る情景が、一瞬、春の田植え前の様子だと結びつかないのでしょう。

畦は日毎に緑色を増して、いよいよ緑の饗宴の季節の始まりです。

近頃は、店内に入る前に付近を散策したり、帰りに散策している方を多く見かけるようになりました。それは、ここに住んでから5年、裏手の小川に沿った道や、農道、沼の土手など、目が届く範囲を草刈りしてきた家人が密かに望んできた光景なのです。

5月になって、地域情報誌「クレードル」を片手に初めて来店される方も増えてきました。この日本の原風景とも言うべき美しい風景を、より多くの方々に知っていただき、見ていただけるのは、私どもの喜びです。

間もなく、土門さんの田では田植えが始まることでしょう。Suiでお茶の時間を過ごしながら、田おこしから田植え、稲の成長、黄金色の稲穂の波、刈り取りなど、田んぼの一年の変容を見せていただけるなんて、なんて贅沢なことでしょう。

鳥海山麓の四季折々の美しい風景を、今年も存分に堪能していただきたいものです。

早朝の山里は大気がピーンと張り詰めているように感じます 

早朝の山里は大気がピーンと張り詰めているように感じます

Suiは、今日にも、開店以来延べ9000人目の

お客様をお迎えすることになりそうです。   (Y)

2011.5.9