19 3月

翠の窓vol.91 : 北帰行始まる

 

「あれっ、ハクチョウ?」と、お客様の声。
「ああ、そうだねぇ。」と言うお連れの方の目の先を追うと、確かに6・7羽の白い鳥が北の方角へ飛んでいるのが見えました。
 
日が長くなり、空は4時半を回っても明るさを残しています。曇り空に霞ん
だ鳥海山の山頂付近は、薄いグレーの雲におおわれているので、白鳥の白さが際立って、随分遠くを飛んでいるのに左の山裾に隠れるまでその飛行を見ることができました。
そろそろ北帰行が始まっているのでしょう。
 
早朝「クワッ、クワッ、クワッ」という大きな声がするときは、白鳥の群れが飛んできたということがわかります。大急ぎで窓を開け、頭上を見上げて、
大群の真下から見上げるタイミングでも、見る見るうちにその姿は小さくなっ
て雲の色に溶け込んでしまいます。
 
我が家から見渡せる空が、北帰行のルートの一つになっているのでしょうか。大方の群れは、鳥海山の方向に向かうか、鳥海山の左裾野の方へ回りこむように進んで、秋田方面に消えていきます。
毎年この頃になると、Suiの前の田んぼにも白鳥が降り立って、餌をつい
ばんでいる様子を見ることがありますが、今年は、まだその姿を見ていません。ここら辺りへ来る頃は、北帰行途中の腹ごしらえというところかもしれません。
遊佐に移り住んだ頃は、白鳥が田んぼに群れているという現象が物珍しく、あちこちで見かける度にカメラを向けていましたが、今では私たちにもすっか
りお馴染みの冬の風物詩、明日にも目の前の田に降り立ってくれるのではと
心待ちにしています。
(Y)

2012.3.19