18 8月

翠の窓vol.102 : 一期一器

 

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友人のMさんに手料理をご馳走になり、

「はい、デザート。」

と言って差し出された器を見てびっくりしてしまいました。

美味しそうなゼリーがのっていたのは、白地に薄いブルーの小さな水玉を散らしたデザート皿とソーサー、どちらも縁が波のようにカットされ、小さな丸い穴が施されているのがレースのようです。

なんとなつかしい・・・ この器に初めて出合った40年も前のことが一挙に思い出されました。デパートの「たち吉」に出されていたこのデザート皿は本当に愛らしく一目で気に入って、デパートに行く度に何度手にとって見たことでしょう。若い友人や知人の結婚のお祝いには、迷わずこの器のセットを贈っていました。

なのに何故か、自分のためには買い求められずにいました。飛び抜けて高い値段でもなかったと思いますが、若い自分には贅沢と感じられていたのか、そのうちそのうちと見送っていたのかもしれません。

思い返せば、この器との出会いが私の器好きの原点となったように思われます。こんな風に再会することがあるとは思ってもみませんでした。思いがけなく開かれた私の青春の1ページ、甘酸っぱいゼリーをおいしくいただきました。

みなさまにも、Suiの器のコーナーで「この一器」に出会っていただけることがあったら幸せです。

vol102-2

(Y)

2012・8・18