翠の窓vol.102 : 一期一器
友人のMさんに手料理をご馳走になり、
「はい、デザート。」
と言って差し出された器を見てびっくりしてしまいました。
美味しそうなゼリーがのっていたのは、白地に薄いブルーの小さな水玉を散らしたデザート皿とソーサー、どちらも縁が波のようにカットされ、小さな丸い穴が施されているのがレースのようです。
なんとなつかしい・・・ この器に初めて出合った40年も前のことが一挙に思い出されました。デパートの「たち吉」に出されていたこのデザート皿は本当に愛らしく一目で気に入って、デパートに行く度に何度手にとって見たことでしょう。若い友人や知人の結婚のお祝いには、迷わずこの器のセットを贈っていました。
なのに何故か、自分のためには買い求められずにいました。飛び抜けて高い値段でもなかったと思いますが、若い自分には贅沢と感じられていたのか、そのうちそのうちと見送っていたのかもしれません。
思い返せば、この器との出会いが私の器好きの原点となったように思われます。こんな風に再会することがあるとは思ってもみませんでした。思いがけなく開かれた私の青春の1ページ、甘酸っぱいゼリーをおいしくいただきました。
みなさまにも、Suiの器のコーナーで「この一器」に出会っていただけることがあったら幸せです。
(Y)
2012・8・18