26 9月

翠の窓Vol.15 : 椿庵

椿庵

 

若い頃から『赤』い色に心ひかれることが多々あったように思います。

女性誌で「椿庵」の紹介記事を見たとき、そこに展示されていたシックな赤に目を奪われました。

椿庵は、能登の七尾市に九谷焼陶芸家の吉田洋子(よしだひろこ)さんが作られた茶室兼ギャラリーです。長年いつかは訪ねてみたいと願ってきたことが、Suiをオープンしたことで実現しました。

金沢美術工芸大学を出て「椿庵」を築いた吉田さんは、いろいろな工芸展・美術展で受賞を重ね、昨年はウェッジウッド本社デザイン室に派遣され新しい技に挑戦するなど、活躍めざましい方です。

竹林の中に建てられた椿庵は、壁も床も総桐のすっきりしたモダンなたたずまいで、午後の日差しが移ろうままに、竹林を通った光を室内に映す幻想的な空間をつくっていました。笹の葉が風に揺れると室内に届いた光もゆらゆらと揺れ、一緒にゆれているような不思議な気分になります。

そこに飾られた赤絵の蓋向、平皿、キャンドルスタンド、花生け・・・ いずれもあの雑誌で釘付けになった『赤』を目の当たりにしました。

クリスマス、お正月の食卓にはぴったりだなあと、いろいろなイメージがわいてきますが、日常的にも、食器棚の中や食卓にこの赤が一つ二つ置かれるだけで、心楽しく、華やいだ気分にしてもらえそうです。

 

Suiのテーブルで、モダンな赤絵の器を手にとってご覧ください。(10月1日より展示します)

皆様の食卓に、きっと華やいだ彩りを添えてくれることでしょう。

(Y)

2009.9.26

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17 9月

翠の窓vol.14 : 北陸へ

北陸へ

 

 近頃は車で移動することが多くなりましたが、横浜にいた頃は、週末を待ちかねて足の向くまま気の向くままに電車の旅をしていました。降り立った所で散策し美術館

に入り、時間の具合では宿泊したりしなかったりの自由気ままな旅です。

 持ち物はショルダーバッグ一つ、手には乗り降り自由のトクトク切符一枚という気楽さです。

 今週、久し振りに電車に乗って一人旅、能登の七尾に行ってきました。今回は、九谷焼の窯を開いている作家さんを訪ねるという目的がありました。

 新潟までは、馴染みがありますが、その先、特に石川県以降は馴染みが薄く、特に能登となると「遠い」「電車の乗り継ぎが面倒そう」という先入観がありましたが、時刻表をよくよく見ていくと、乗り継ぎは2回で済みそうです。

 酒田を早朝5時42分の特急に乗ると、金沢にはお昼前に、七尾には1時前に着いてしまいました。あっけない位です。これならば、魅力的な焼きものの多い金沢周辺に気軽に出かけられるなあと嬉しい発見でした。窯元での用件を終え、ホテルに着くと、

「お荷物をお持ちしましょう。」と、宿の仲居さん。

「いえ、これだけですので。」と、相変わらずショルダーバック一つの私。

 仲居さんが、えっという顔で差し出した手のやり場に困ったみたいです。

 今回お訪ねした窯元は、七尾の椿窯です。吉田洋子(ひろこ)さんという女性が焼く『九谷焼赤絵』の魅力的な作品を10月1日よりご覧頂きます。どうぞお楽しみに。

(Y)

2009.9.17

 

咲き出した「イワシャジン」

 

 


03 9月

翠の窓vol.13 : 飲む玄米

飲む玄米

 

 「玄米コーヒーって、玄米とコーヒーを混ぜているの?」と聞かれたことが何度かありましたが、耳新しい名前もSuiではおなじみになってきました。

 耳慣れない飲み物名にも関わらず、オープン当初よりオーダーしてくださる方が多く、「香ばしい」「おいしい」の声に励まされてきました。

 玄米コーヒーは、玄米100パーセントのコーヒースタイルの飲み物、もちろんノンカフェインです。

 豊かな湧き水の中で梅花藻 満開

豊かな湧き水の中で梅花藻 満開

 原料となるお米は、鳥取県大山で、農薬や化学肥料をそれぞれ5割減・9割減し、さらに有機堆肥を使用して生産された特別栽培玄米(残留農薬0%)です。

 それを焙煎し玄米コーヒーを作っているのが松尾信一郎さん。玄米を原料とする飲み物の開発を志してから納得のいくものの誕生まで、なんと12年もの歳月をかけ、試行錯誤の末、古代の知識「黒焼き」を応用した焙煎を行い、香りとコク・苦味を醸し出すことに成功しました。

玄米が健康維持に果たす役割の大きいことは周知のことですが、玄米ご飯を常食にすることに手が出ない方にも、玄米コーヒーならば手軽に玄米の栄養価を得る ことができるでしょう。松尾さんが開発した特殊製法によって、玄米コーヒーは白米の28倍にもなる食物繊維、抗酸化物質や多種のミネラル・ビタミンを含ん でおり、焙煎により算出する玄米ポリフェノールも多く含んでいます

玄米コーヒーは、まさに『飲む玄米』なのです。今日一杯の玄米コーヒーが、

あなたの心身を浄化してくれることでしょう。

(Y) 2009.9.3

20 8月

翠の窓vol.12 : かの山かの川

かの山 かの川

 

先日、ハンガリープロムジカ女声合唱団のコンサートに出かけた折り、最後のアンコール曲に日本の『ふるさと』が歌われた。指揮者のサボーさんに促され一緒に歌いながら浮かんできたのは、「山は青きふるさと水は清きふるさと」の歌詞そのもののこの遊佐の山川だった。

 遊佐の袋地に移り住み始めて3年になるが、その間我が家の敷地から裏手の小川の土手へ、裏の沼の周辺へと藪を払いながら草刈りをしていくと、自然に蛇行している川筋がはっきりと見えてきた。更に、いつからか川底に沈んでいたビニルや鉄片などを取り除いていくと、淀んでいた流れが澄んだ流れに変わり川底が姿を見せるようになった。

 川底が姿を現すとカワセミを頻繁に目撃するようになり、近頃、家の前の川で鴨がスイスイ行ったり来たりする姿を見たときには、しばし興奮! 草刈りが趣味だねとからかわれながらも日課のように続けてきたことが、こんな形で報われるとは・・・大満足である。

 先日は、男の子が二人お父さんと川に入って遊んでいる光景を目撃した。嬉しくなって駆けつけると、どうやら魚採りをしている様子。何が採れると聞くと、

「アブラハヤだね。後ろのバケツに入ってるよ。」

と、お父さんの弾んだ声が返ってきた。昔とったきねづかというところか。まさに、「こぶな釣りしかの川」の歌詞そ のもの。

 お盆休みの最終日のなつかしい「ふるさと」の光景は、男の子たちの「ふるさと」の光景としても受けつがれていくだろう。

(B)

2009.8.20

山は青きふるさと 水は清きふるさと

山は青きふるさと 水は清きふるさと

13 8月

翠の窓vol.11 : うちわの風

 

団扇

団扇

  うちわの風

 

 デパートのショーウィンドウに、透かし模様も艶やかな大振りのうちわを見つけました。とてもおしゃれ、欲しいなと思って値段を見ると、なんと0が4つも!

 7月、ちょっと蒸し暑いなぁと感じるようになると、幾つか持ち合わせているうちわを出しておきますが、うちわを見ると決まって思い出すことがあります。

 小さい頃、蒸し暑い夜の寝入りばなに、母がうちわで涼しい風を送ってくれたこと。左右に行ったり来たりする涼しい風を感じているうちにすうっと眠りにつくことができました。あのやさしい風の感触と気持ちの良さがよみがえってくるのです。

 あの頃は、エアコンは元より扇風機もまだ家になかった時代、うちわが必需品でした。

 母が使っていたうちわは、町のお店の宣伝が入ったもらいものだったように思います。万単位のおしゃれなうちわを使ってみても、母が扇いでくれたあの風に勝る風は味わえないでしょう。

 蒸し暑い夜、その度に、母のあのやさしく涼しい風があったらなぁと思いながら自分で自分に風を送ってみます。

 遠く遠くなつかしい思い出です。

(Y)

 2009.8.13

ある日の午後 うつらうつら

ある日の午後 うつらうつら

02 8月

翠の窓vol.10 : とうとう1000人!

vサイン とんぼもv

vサイン とんぼもv

とうとう1000人!

 

   Suiをオープンして4ヶ月目に入り、とうとう1000人目のお客様をお迎えしました。

 8月1日、999人目の方が帰られたのは4時を回っていました。1000人目の方は明日へ持ち越しかなと思ったところへ、車が入ってきました。さて、どなたかしらと心待ちにしていましたら、何度か来店していただいているAさん夫妻です。奥様の方が先に入られたので、1000人目は奥様ということに。ギャラリーの小さなカップを記念品にお渡ししました。

 1000人ものお客様にご来店いただきましたこと、心から感謝申し上げます。                 

 リピーターになってくださっている方が、その都度新しく知人をお連れくださることも多く、いわゆる口コミの力の大きさと有難さを感じているところです。経営としてはまだまだ課題が大きいのですが、中には「大人の隠れ家にしておきたい」と言ってくださる方もいらして、そのような思いも大切にしていきたいと思っています。

(Y)

2009.8.2

 

「一期一会」  翠の玄関

「一期一会」  翠の玄関

25 7月

翠の窓vol.9 : もうすぐ1000人!

 

もうすぐ1000人!

 

Suiをオープンして、まる3ヶ月になります。

目の前の田の稲はぐんぐん成長して、緑の絨毯は日に日に目に鮮やかになってきています。鳥海山は、残雪も少なくなり翠の山になりました。

お客様がSuiの玄関を入り、窓に広がる景色に気付いて異口同音に「すごいねぇ」と感嘆の声をあげられ、

「ここに喫茶店を作るなんて、ボランティアのようなものですね。」

「ここは、私にとって5本の指に入る大好きな場所です。」

「こんな素晴らしい所をよく見つけましたね。」

「遊佐にこんな景色の所があるなんて知らなかった。」

などと言ってくださるのを聞いてきました。

「外で見る景色よりも、店の中に入って見た方が素敵でした。」

と言っていただいたのは、窓の額縁効果でしょうか。セカンドライフの仕事ながら開店してよかったと思う日々です。

 わずか11席の店に、オープン以来900名に近い方々に来店していただいたことが分かりびっくりしていますが、素人考えで看板も立てずに始め、いろいろな方にご迷惑をおかけしてしまったことをお詫びいたします。

 さて、1000人目のお客様を迎えるのはいつになるでしょうか。

 これからも、鳥海山と大地のパワーをいただきながら、たくさんの方々との出会いに感謝しつつ、居心地のよい場所となるように努力していきたいと思います。

(Y)

2009.7.25

西山 芳浩さんの ガラス作品

西山 芳浩さんの ガラス作品

                                  

09 7月

翠の窓vol.8 : 玄米ご飯はおいしいから食べる <その2>

玄米ご飯はおいしいから食べる <その2> 

 

 米農家の方に「玄米ご飯は食べないんですか」とお聞きすると、決まって「玄米はうまくねから食わね」との返事が返ってきます。もったいないなぁ、おいしい玄米をたくさん作っているのに・・・ 白米は確かにおいしい、しかし玄米ご飯は別のおいしさです。

 おいしくない、面倒というのは、ボソボソして固いという思い込みと、時間と手間がかかるとの思い込みによるように思います。炊き方で、赤飯か?と思うほどもちもちになります。時間はかかりますが、手間はかかりません。

 

〔玄米ご飯をおいしく炊くコツ〕

  • 玄米を水で2度ほどさっと軽く洗い、水に浸しておく(白米より簡単!)
  • 圧力鍋に水を入れ、その中に玄米と水を入れたカムカム鍋を入れて炊飯を始める。圧力鍋のピンが上がったら、火力を弱める(50~55分のタイマーをかける)。
  • 火から下ろし、圧力鍋のピンが下がるまで蒸らす。

 

手間はこれだけ。確かに、水に浸しておく時間と炊飯の時間はかかりますが、炊飯中は側についている必要はなく、その間のんびりしていようが別のことをしようが自由です。私は、その間に片付けものをしたり、のんびりおかずを作ったりしています。

 玄米を水に浸しておく時間は、1日2日と長いほど炊きあがりのもちもち感が増しておいしくなりますが、朝炊飯するには前夜、昼炊飯するには朝、夕方炊飯するには昼過ぎから始めても、充分おいしく炊けます。

 またカムカム鍋を使用せず、圧力鍋だけでもおいしく炊飯できます。

 栄養価が高く体調を整えてくれる玄米ご飯、『百聞は一食にしかず』おいしい玄米ご飯を食べてみたいという方は、ご相談ください。

(Y)      2009.7.9

29 6月

翠の窓vol.7 : 玄米ご飯はおいしいから食べる <その1>

たっぷりの朝露をうけて

たっぷりの朝露をうけて

玄米ご飯はおいしいから食べる <その1>

 

 「玄米ご飯はおいしいから食べる」って、ホント!?と懐疑的な方も多いことでしょう。かつては私もその一人。

 これは、元々料理研究家の有元葉子さんの料理本に書かれていた言葉であるにかかわらず、ほんとかしらと疑ってかかっていましたが、今ではほぼ毎日「玄米ご飯はおいしいから食べ」ています。

 遊佐に移り住んで、しばらく発芽玄米を試みていましたが、おいしいならば玄米そのものを食べたいと思っていたとき、有元葉子さんがプロデュースしたお店が横浜にでき、玄米ご飯を出しているとの情報を得て、横浜に出たときに食べに行ってみました。玄米ご飯と簡単な野菜料理のランチプレートをいただいたところ、なんと玄米ご飯はもちもちで、なるほど「玄米ご飯はおいしい」のだと実感したのです。

 それから、さっそく圧力鍋とカムカム鍋を購入して、数回試行錯誤しつつ安定しておいしい玄米ご飯を炊けるようになりました。

 カムカム鍋を開けると玄米ご飯がふんわり盛り上がっていて、しゃもじを入れるとしゃもじにくっつくほどもちもちの仕上がりです。おかずは野菜が中心、お魚はたまに。欠かせないのがごま塩です。玄米には必要な栄養素がほとんど含まれていますが、ごま塩で補えるものがあるそうです。肉類は合わないようで、玄米ご飯のときは欲しくないのが不思議です。

 お茶碗に盛られた玄米ご飯は、なぜかワシワシと食べたいという気分になります。おなかいっぱいいただきますが、おなかにズッシリとこないので、食後も爽快、ある時間が経つと、おなかがぐっとすいてくるのが不思議です。

 おいしくて体調を整える玄米ご飯を、皆さんにも是非味わっていただきたいものです。

(Y)     2009.6.29

08 6月

翠の窓vol.6 : 天に星 地に蛍

天に星 地に蛍                                                                       

  
 

 ここ袋地に移住した3年前のこと、お風呂に入っていた家人が、窓の外の田の上で揺れている一匹の蛍を見つけました。

 ここら辺りでは、きっと蛍が見られるのではと心待ちにしていたので、家の裏手から農道に出てみると、田の脇の小さな流れに沿って、いるいる!こちらに十数匹、流れの先にも十数匹、やさしい光をゆらしているではありませんか。

 我が家の庭続きの所でこんなに蛍が見られるなんてと、しばし茫然。夕食後は毎夜ほたる見物に出るのが習わしになりました。

 以来、6月は蛍の月、今年も心待ちにしているところです。                       

 家人は、春早くから近くの水路に蛍の餌になるカワニナがどれほどいるか気にして見ていますが、この3年間に少しずつ増えているような気がすると言っています。確かに蛍の数も増えているように思います。

 昨年は6月14日頃からほたる見物に出ていましたが、18日過ぎからその数を増して、時に、200~300匹もの数を数えることがありました。肌寒い日は、草陰に隠れているようにみえますが、蒸し暑い日は草むらから立ち昇るようにして乱舞しています。それはそれは幻想的な光景です。

 杉木立の前の小川から舞い上がる蛍は、杉の梢を越えて飛び、星のきれいな夜は、一瞬星と見分けがつかなくなります。蛍も夜空の星を仲間と思って舞い上がるのではないかしら。

 遊佐には、ひと昔前には数万の蛍が乱舞する所が各地にあったと聞きました。袋地に住まいを得て、その自然環境の素晴らしさに感謝する日々ですが、この地の蛍が数を減らすことなく毎年飛び交う環  境が維持されることを星に祈る日々でもあります。 

(Y)  

2009.6.8