09 5月

沢木耕太郎様

                       翠の窓vol.202

沢木 耕太郎 様

 

横浜から移住して13年目、山形の遊佐町に住んでいる者です。

新聞広告で、『旅のつばくろ』が発刊されたことを知り、さっそく本屋さん (町に1店しかない小さな、しかし、私たちにはとっては大事な本屋さんです) に問い合わせると、珍しく早々に入荷しているとのこと。

本屋さんに行く前に、これまで大事にとっておいたJR東日本の情報誌 「トランヴェール」 2016年4月号を取り出してみると、表紙に「エッセイ新連載・旅のつばくろ」とあり、「夢の旅」 (東北への第1歩として、遊佐を訪れたいきさつを書いている) が連載第1号であったことに初めて気付き、ちょっとびっくり。『旅のつばくろ』の第1話として掲載されているのが、誇らしくうれしい気分です。本屋さんには6冊ありましたので、1冊を残して5冊買って帰りました。

 実は、私共は、沢木さんが、遊佐への旅で「最も心動かされたのは、朝日を浴びた鳥海山が、田植え直後の田んぼの水に映っていたことだった」と書かれている、正に、それとほゞ同様の風景が目の前に広がる地に立ち、遊佐への移住を即決したのでした。

 以来13年になりますが、四季折々の眺めはもちろん、夜明けから夜への1日の眺めにも見飽きるということがありません。この素晴らしい景色を大勢の方に見ていただきたいとの思いのみで、ギャラリー・ティールームをオープンしてからは11年になりました。

 今日も快晴で、青空をバックにまだ雪を残す鳥海山がくっきりとそびえている様を見ることができます。山裾には若緑色の帯が生じ始めました。この若緑色の帯は、日に日に山頂に向かって昇っていきます。(秋には、逆に紅葉の赤い帯が山頂より裾野に向かって降りてきます)

田には水が入り始め、沢木さんが遊佐を訪れてご覧になった景色が広がっています。

 庄内平野の水田一面がガラスのように光を反射し輝く様は、秋の黄金の実り一面の眺めに劣らず、圧巻です。

 世情が落ちつきましたら、どうぞまた東北への旅、遊佐への再訪を実現していただけますよう願っています。その折には、是非Suiからの素晴らしい眺めもご覧いただけたら嬉しいです。

 どうぞ、くれぐれもお体大切に、お元気におすごしください。

 しばらく前から店は営業を自粛しており、時間はたっぷりありますので、『旅のつばくろ』でじっくりゆっくり国内旅行が楽しめることでしょう。

          鳥海山の麓から 「深夜特急」以来の隠れファン (Y) 2020. GWに

09 5月

春を待つテーブルに

                        翠の窓vol.201

春を待つテーブルに

 

明日から2月。

いつもなら、2月の声を聞けば、遠からず春は

やってくると心浮き立つ思いになる頃ですが、雪のない1月は、まるで春が来たような錯覚に陥ることもしばしば、2月を迎える感慨がわいてきません。

雪かき不要で楽だなぁという思いも、こんなので大丈夫かしらという不安との背中合わせ。        隣の「舞沼」に白鳥がやって来た

加えて、新型ウィルスの感染が広まっている不安・・・

新しい年が、こんな複雑な思いを抱えての出発になるとは思いもしませんでした。

ともあれ、できることは、地に足をつけ、一日一日を大事に生きていくことでしょうか。

昨日、Suiではお馴染の九谷青窯から、ミモザ柄の器が数種類届きました。不安な気持ちを和らげてくれるような、明るいミモザの黄色に、少し救われるような思いがして、さっそく器のコーナーに並べてみました。

このミモザ柄の器は、昨年から2種類の楕円鉢を置いていますが、とても目を引く色柄のようで、これまで、「あっ、ミモザ・・・」と着目してくださるお客様が大勢いらっしゃいました。

今回は、4寸・6寸皿とマグカップが展示に加わりました。どれも形はシンプルですが、ミモザのやさしい黄色が白地に映えて、テーブルは一挙に春の装いになることでしょう。

特にマグカップは、小ぶりながら他にないユニークな形もかわいらしく、マイカップにしてそばに置きたくなります。

ミモザの小皿においしいお菓子をのせて、マグカップにはお好みのお茶を。ご家族とでも、お友だちとでも、お一人でも、心和むティータイムをお過ごしください。

我が家では、さっそく美味しいほうじ茶と、 

うぐいす餅をセットして、早春のティータイム を過ごしました。  (Y) 2020. 1. 31

02 1月

普段にもハレの日にもお気に入りの器で

                        翠の窓vol.200

普段にもハレの日にも

お気に入りの器で

 

新年おめでとうございます

 

大晦日から雪になるとの予報に、初日の出をあき

らめていたのに、目覚めたら窓の外が明るい❢ 

雲間から青空も見え、既に朝の日が差していて、初日の日差しが広がっていくところを見逃してしまいました、残念

穏やかな年明けにほっとしつつ、まずは、鳥海山に手を合わせるのが、私たちの恒例の初詣です。同じ地に立ち、途切れない時間を経過しているだけなのに、一夜明けて心新まるというのはいいものです。

昨夜、来客があって、おせち用に用意したものをあらかた皆でいただいてしまったので、元旦の今朝は、簡単なおせち料理もどきのワンプレートで済ますことにしました。

用意したお皿は、正木春蔵さんの「双鳥文大皿」。普段から使い慣れたお皿ですが、大ぶりなので、蒲鉾、伊達巻、昆布巻、栗きんとんなど、数種のおせちの定番を盛り合わせることができます。

ワインをお屠蘇代りにしたら、チーズやハムなども一緒に盛り合わせると、ハレの日の思いがけない一皿になりました。

皆様のお宅では、元旦の朝のテーブルがどんなふうにセッティングされたのでしょうか。Suiでお求めいただいた器がお役にたっていたらうれしいです。

今年も、普段にもハレの日にも使っていただける器をご用意できるよう、吟味しつつ、器のコーナーを充実させていきたいと思っています。 

(Y)  2020. 1. 1

14 12月

安藤由紀子 『ニゲラのリース』展

                        翠の窓vol.199

Suiギャラリー

安藤由紀子 『ニゲラのリース』展

4時をまわって夕やみが迫ってきた頃、窓の外を5・6羽の白鳥が、低空飛行で下りてくるのが見えました。Suiの奥にある沼に帰ってきたようです。

1昨年あたりから、数羽の白鳥が沼を冬の住処に選んでくれたようで、それ以降小さな沼は「白鳥の湖」となっています。

鳥海山は既に白化粧、遠からず里も白一色となることでしょう。

この季節、Suiギャラリーでは、毎年、安藤由紀子さんのリース展を開催しています。今年は『ニゲラのリース』展、店内に入ってすぐ、お客様の目をうばうニゲラのみのリースは、他に類を見ない、安藤由紀子さんオリジナルの圧巻のリースです。

このリースを作り上げるために、安藤さんは、春にニゲラの種を蒔き、夏に花をつけた後の莢を収穫し、乾燥し、選別して・・・といった作業をしています。ほぼ1年がかりの準備作業あってのリース製作なのです。

クリスマスのものというイメージの強いリースですが、ニゲラのリースは季節を問わず1年を通して壁にかけ楽しむことができます。土台となる蔓の輪には、ぎっしりとミントが詰め込んであるので、リースの前を通ると、ふっとよい香りがするのも魅力のひとつでしょう。

今回の展示では、直径37cmの大きなニゲラリースが特に目を引くようで、既に3名の方から予約をいただいています。どの方も、ご自宅のあの場所に是非飾りたいという明確なイメージをお話されているのが印象的です。

ニゲラのリースは、3・4年前から展示していますが、独創的な安藤さんのリースの魅力に気づいてくださる方が増えてきているのがわかり、ニゲラのリース製作を提案してきたSuiとしても、今年は、以前にも増してうれしく励みになっています。

どうぞごゆっくりご覧ください。                (Y)  2019.12.9

☆ ニゲラ キンポウゲ科の1年草。

夏、頂部にブルーや白の花をつけ、果実が球状の莢になる。

25 11月

レモンで特効ドリンク

                        翠の窓vol.198

レモンで特効ドリンク

 

レモンが収穫される季節がやって来ました。「ジューシーになってきました」という知らせを受けて、今年もさっそく愛媛から国産レモンを取り寄せました。

レモンを輪切りにして『レモン酢』を仕込みます。

レモンに包丁を入れたときに立ちのぼる香りに、キュッと胸をつかれるのはいつものこと。ある香りに特定の記憶を呼び覚まされるということは、誰もが経験することでしょうが、私にとっては、何といってもレモンの香り・・・

レモンの香りをかぐと、たちどころに、社会人になりたてのひとり暮らしを始めた頃に引き戻されるのです。地方暮らしの日常には登場しなかったレモンを、都会での暮らしを始め手軽に手に入れることができるようになって、そのおしゃれな香りの虜になってしまったのかもしれません。と言っても、紅茶に入れるとか、はちみつ漬けにしてみるとかといった使い方位しかできなかったと思われますが、ひとり暮らしの自由な日々、都会的なものを身近に目にするカルチャーショックの日々を過ごしていたのであろう頃のことが、ひととき、頭の中を駆け巡ります。

さて、『レモン酢』。輪切りにしたレモン(10個位)を、氷砂糖(1kg)と酢(2ℓ)に漬け込みます。氷砂糖があらかた溶けきる2~3週間後ぐらいから飲めます。色々な効能が報告されているようですが、私はともかく「おいしいから」飲んでいます。一番気に入っているのは、ハイボールに加えて飲むこと。お酒には何でも合うようです。

また、ハチミツを加え、お湯や炭酸水で割ったレモン酢ドリンクは、手軽なのに、最強のサプリメント(下記の本参照)と言われる「ハチミツ+ビタミンC」の組み合わせそのもののドリンクとなって、特にこれからの季節に欠かせません。

少し冷え込んで、喉にイガイガの違和感を覚えたり、うっすらと頭痛を感じたりして、風邪のひき始めかなと思ったときに、すぐハチミツ入りレモン酢ドリンクを飲むと、2~3時間後にはもうそれらの症状が消えてしまう(私の場合)即効薬で、とても頼りにしています。

庭の木々の紅葉が進み、すっかり晩秋の趣き。朝一番、店のストーブに火を入れたら、まずはレモン酢ドリンクを飲んで、開店準備を進めます。この冬も元気で、お客様を迎えたいと思います。

       (Y) 

2019.10.25 

参照 

『レモン酢』マキノ出版

『ひとさじのはちみつ』

マガジンハウス

25 11月

Suiの窓から

                        翠の窓vol.197

Suiの窓から

風はすっかり秋の気配、気持ちの良い秋晴れの日が続いています。

今日は、3連休の中日、申し分のない晴天でした。

途切れなく続いた午前中のお客様たちが、ほゞ一斉に帰られ、午後は、1時過ぎから、2人連れのお客様が4組、次々に来店され、すぐ満席になりました。

ご注文の品をお出しして、シンク周りを片づけ、ふと気付くと、どの席のお客様も、2人ずつ同じように窓の方を向いて座られ、ゆったりと過ごされています。声高に話される方も、おしゃべりに夢中になっている方もなく、どなたも、ただただ窓の外に広がる鳥海山と田園の様に魅入っているのが感じられました。

鳥海山は、頂上までくっきりと緑の姿を見せ、その向こうには、澄んだ青空を背景に、もくもくとした白い雲、田の稲はたわわに実って、さんさんとふりそそぐ陽の光に、黄金色に輝いています。

雲が少しずつ形を変え、時折り白鷺が餌を求めて飛び交ってはいるものの、音もなく静かな時間が流れています。

店内は、時折り、その眺めの感想を伝え合っているらしい小さな声が聞こえるだけ。

なんと静かな豊かな時間でしょう。

次のお客様が来ることもなく、8人のお客様貸切りのような、ゆったりしたミラクルな時間は、小1時間ほど続きました。

それぞれのお宅にいては、これほど雄大な眺めにひたることはなかなかかなわないことでしょう。4組のお客様たちは、どんな感想を持ってお帰りになられたのか・・・

Suiが、日曜日の午後の豊かな時間を提供できたとしたら、こんなうれしいことはありません。

この地に住まいして12年、この美しい景色がよくぞ変わりなく続いていてくれるものだと、感謝の念でいっぱいです。この先も、永く永く、私たちの喜びでありますように。  (Y)   

2019.9.15 

25 11月

山の日、森で・・・「末宗美香子展」に思う『22山麓グランドデザイン中間発表会』

                        翠の窓vol.196

山の日、森で・・・

「末宗美香子展」に思う

『22山麓グランドデザイン中間発表会』

今日は「山の日」。制定されてから4年、

やっとなじみ始めた若い祝日です。

長く「海の日」には慣れ親しんできたのに、

なぜ「山の日」はなかったのか・・・

海派同様、山派の人も大勢いるわけで、

我が家は断然山派人間で、鳥海山を眼前に一望する土地に住むことになったのは、信じがたいほどの幸運だったといえましょう。

根っからの山派の家人は、鳥海山の眺めと同様に、裏の杉林にも興味津々、何とかこの杉林の山を相手に過ごせないものかと四六時中考えていたようで、間もなく念願が叶い、その一部を入手すると同時に、その何倍もの杉林を借りることができました。

それからは、寝ても覚めても杉林。下草を刈り、積もりに積もった古い杉の葉を掘り起こし、杉の木を間伐し、枝を払い・・・と整備を続け(一緒に作業をしてくれる仲間にも恵まれました)、少しは人にも林の中を歩いてもらうことができるまでになったかというところで、「山の日」の制定となり、我が意を得たり、「山の日」のイベントをささやかに続けてきました。

店内の壁画の作者、末宗美香子さんが、大きな布に人物像を描いていることを知って、林の中での展示会を初めて催したのもこの頃のこと。

この布の絵は、ベルリンでは由緒あるホテルの吹き抜けに掲げられましたが、東京では室内ギャラリーの壁から床に届いてしまう状態での展示となったのはやむを得ないことだったのでしょう。

同時に、林の整備が進む中で、杉林の樹々の間に展示するアイディアが出て、実施してみると、閉ざされた屋内の展示よりも、長い布が生かされた素晴らしい展示になっていると思われます。

整備された林は、それだけで気持ちの良い空間ではありますが、長い布絵が展示されることで、全く異なった雰囲気を生み出し、林という自然空間の良さや特徴を際立たせてくれるように思います。

ご覧いただく皆様には、林の中に立ち、布絵という作品に全身を囲まれて、空間全体を体験(見たり、聞いたり、感じたり、考えたり)することができ、展示空間を含めた全体作品として、体感していただけることでしょう。

風に揺れる空想の13人の人物は、あなたにとって妖精か、異邦人か、彼女達のささやきが聴こえてくるかもしれません。

(Y)

              2019.8.11 山の日に

25 11月

モーニングSuiへ

                        翠の窓vol.195

モーニングSuiへ 

 

良いお天気が続いています。

今朝は、朝から雲ひとつなく、鳥海山はくっきりと深緑の姿を見せ、まぶしい朝日は、夏の陽ざしを思わせます。

そんな中、6時少し前から、4人5人と連れ立って、お客様がやって来ました。昨晩「しらい自然館」に宿泊した遠方からの旅行者の方々が、Suiの庭のウッドデッキに三々五々集まってこられ、総勢16名。

気持ちの良い朝の空気に包まれ、あたたかな朝日を浴びながら、皆様「モーニングコーヒーを」とのご注文です。写真を撮ったり、おしゃべりに興じたり、林の中や付近を散策したり、小一時間程を思い思いに過ごして、7時からの朝食に合わせて、畦道を散策しながら戻っていかれました。

Suiは、日中、鳥海山の姿や田園の風景を楽しんでいただいていますが、実は、営業時間外の早朝や夕刻の眺めが、それはそれは美しく心奪われるような眺めで、それを見ていただけないのが、残念でなりません。

朝日が昇ろうとするときの真赤な朝焼け、空が白んできた頃の辺り一面の何もかもが朝露にキラキラ輝く様、木々の間を行き交う鳥たちの様々な声・さえずり、朝日がさして刻々と変化していく鳥海山の山襞の様子・・・ まったく見飽きるということがありません。

夕方の、日没の夕日の照り返で赤く染まっていく鳥海山も、ほんの数秒のことながら一見の価値があります。季節によっては、店内に居ながらにして、月の出を眺めることもでき、鳥海山のすそ野のひと所が薄明るくなってきたと思う間もなく、月が昇ってくる様はとても幻想的です。間もなく、夜遅く蛍が飛び交う姿も見ることができます。

これまでも、何組かご希望があって、早朝に開店したり、夕刻から夜にかけて、お月見の催しをしたりすることもありました。

初夏の気持ちの良い季節です。爽やかな空気の中、鳥海山と大地のパワーが皆様を迎えてくれることでしょう。

 

営業時間外のご来店をご希望の場合は、

お電話でご相談ください。

       (Y) 

                                   2019.6.14

02 5月

Sui 10周年に

                        翠の窓vol.194

Sui 10周年に      

 

 初めてこの地に立って、鳥海山を目にしたとき、なんて美しい翠(みどり)の山なのだろうという強い印象を受けましたので、自宅を建てたとき、戯れに「翠山荘」と名付けました。

 その後つくった店は、その一字をとって「翠=Sui」と名付け、2009年にオープンしました。

 やがて、Sui(スイ)は、変わることのない美しい翠(みどり)の鳥海山のイメージに加え、

脇の川を飛び交う翠(カワセミ)のSuiに

目の前に豊かな実りを見せてくれる水田(スイデン)のSuiに

鳥海山の湧水(ユウスイ)のSuiに・・・

と、様々な美しいイメージを広げてくれる名となってきました。

ここ1年程の間、「この店は、何年になりましたか。」とか、「いつからあるんですか。」と聞かれ、「10年目です。」とお答えすることが、毎日のように繰り返されてきました。

 Suiを度々訪れてくださる方は、「もう10年ですか。」と、感慨深げに言ってくださいますし、「こんな店が、こんな所にあったなんて、知らなかったなぁ・・・」と言いたげな初めての方も、結構多かったように思います。

 何はともあれ、大勢の皆様に親しんでいただき、4月末で10周年を迎えられますこと、本当にありがたく、心より感謝申し上げます。

 Suiギャラリーでは、10周年記念企画として「石田典子作品展」(4.26 5.28)を開催致します。

鶴岡にお住まいの頃に作品を見せていただいて以来、毎年開催している春の展示会を楽しみにしていてくださるお客様が大勢いらっしゃいます。 風景、花、果物などを描いた水彩画を主に展示してきましたが、ここ数年アクリル絵の具も加えた色彩鮮やかな作品が増えてきています。

今年は、従来の石田さんの作品と趣の違う、新作をお楽しみいただけます。ご期待ください。

建築中のSui 2009年3月の頃 森は鬱蒼としている

九谷青窯の新着の器も、合わせてご覧ください。             (Y)  2019.4.10

18 3月

お気に入りの器を見つけて

                       翠の窓vol.193

お気に入りの器を見つけて      

 

遊佐に帰省中のIさんが、「欲しい器がいっぱいある・・・」と言いながら、Suiの器コーナーを熱心に見てくれていました。「忙しくて、毎日のおかずなどは、器など気にすることもなく、銀行からのもらい物のお皿なんかにチャチャッと盛って終わりのことが多い」のだそうです。

 サービス品のもらい物の器だとしても、気にいって使うのであれば何ら問題はないのでしょうが、Iさんは、おざなりの器でチャチャッとすませてしまうということに流されてしまっている現状を、何とかしたいと思っているようでした。

 日々の食事は特別な料理ではなく、さもないお惣菜の類の繰り返しですから、特別な器を用意することはなくとも、これらのお惣菜の映える器を選び、丁寧に盛り付けるだけで、食事を楽しむ気分も美味しさも断然違ってくることでしょう。

 まだ若いIさんの食器棚が、間に合わせのものを除いて、自分の気に入った器が並ぶ食器棚になっていくように、エールを送りたい気分です。

 数日前に、正木春蔵さんの器の新作が10点ほど届きました。正木さんの器をいつも心待ちにしてくれているSさんがさっそく来店され、色絵の片口と染付の筒碗を求められました。Sさんは、この器にはこんな料理を盛り付けようとか、こんな使い方をしようとかということを、瞬時にいろいろ思いつかれ、本当に気に入って求めてくださいます。

 Sさんの食器棚には、きっと、これまで求めていただいたお気に入りの器が、きれいに並べられていることだろうと想像しています。

 昨日は、Nさん姉妹が、東京から来られた親戚の方と来店され、正木春蔵さんの、これも新着の酒呑を気に入ってくださって、2家族それぞれ「マイ猪口にしよう」と、人数分を求めていかれました。

 それぞれのご家庭では、新入りの器を加えて食卓を整え、美味しく楽しい食事の時間が展開されていることでしょう。 (Y)

2019.3.10